オスカー監督トム・フーパーが「リリーのすべて」を作るうえで参考にしたものとは?

2016年3月7日 15:00


実在した画家の激動の半生を丹念に描写
実在した画家の激動の半生を丹念に描写

[映画.com ニュース] 世界初の性別適合手術で女性になった実在の画家アイナー・ベイナーの半生を描き、第88回アカデミー賞アリシア・ビカンダーが助演女優賞を受賞した「リリーのすべて」の特別映像が公開された。オスカー監督のトム・フーパーが、作品の製作秘話を語っている。

舞台は1926年のデンマーク。アイナー(エディ・レッドメイン)は、肖像画家である妻ゲルダ(ビカンダー)に頼まれて女性モデルの代役を務めたことをきっかけに、自らに眠る“女性”の存在に気付き、やがて“リリー”という女性として過ごすようになる。ゲルダは苦悩しつつも夫の変化を受け入れ、2人は性別適合手術に踏み出していく。

フーパー監督は「英国王のスピーチ」(10)や「レ・ミゼラブル」(12)でも時代の空気をすくい取ってきたが、本作では「2人(アイナーとゲルダ)は美を基準にして世界を見ていた。アイナーは風景にひかれ、ゲルダは女性の美しさをカンバスに表現した。だから私も映像美にこだわった」と登場人物に寄り添う形での製作を決意。

撮影では、アイナーと同じくデンマーク出身の画家ビルヘルム・ハンマースホイの絵画を参考にしたという。「ハンマースホイに魅了され、彼の絵に描かれた住居を再現したんだ。そして撮影監督のダニー(・コーエン)に無理を言って、ハンマースホイの絵のような柔らかな光を映像化した。デンマーク風の青っぽいグレーの風景は、リリーを殺風景な景色に置く。彼女が逃げ出したかった無味乾燥な世界の象徴だ」。

「我々の生きる時代は陰うつだが、20年代のこの物語には献身的な愛がある。その愛が人々の感動を呼ぶんだ」と力説するフーパー監督の飽くなきこだわりには、出演陣も心を動かされた。フーパー監督と共に来日が決定しているレッドメインは、「トムはあらゆることに精通していて、理にかなったやり方を撮影の際に求めた。でも同時に、演じる際の感覚も大切にしていた」、ビカンダーは「トムは登場人物の感情をデリケートに、そして繊細に描いた」と敬意を語る。2人を支える画商ハンスを演じたマティアス・スーナールツもまた「トムは撮影のすべてに情熱を傾けていた。映画作りを愛するがゆえだ」と最敬礼だ。

リリーのすべて」は、「007」シリーズのベン・ウィショー、「ブリッジ・オブ・スパイ」(15)のセバスチャン・コッホ、「ラム・ダイアリー」(11)のアンバー・ハードらが脇を固める。3月18日から全国公開。

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