「おじさんも結構楽しい」 光石研、33年ぶりの主演作を語る

2011年6月17日 13:22


33年ぶりの主演作について語る光石
33年ぶりの主演作について語る光石

[映画.com ニュース] 商業映画デビュー作「川の底からこんにちは」で絶賛された、気鋭の若手監督・石井裕也の最新作「あぜ道のダンディ」が6月18日から公開する。主演は、これまで150本以上の作品に出演しており、名バイプレーヤーとして知られる光石研。33年ぶりに主演を務める、光石に話を聞いた。

主人公は、妻を早くに亡くし、大学進学を控えたふたりの子どもと暮らす、運送会社勤務の宮田淳一、50歳。はたから見れば“サエないおじさん”の宮田だが、子どもの前では弱みを見せずにカッコいい男を気取ってきた。しかし、ある日、自分はガンだと思いこみ、中学時代からの親友・真田に不安な心中を吐露する……。

久々の主演に「とってもうれしかったですね」と笑顔を見せ、「けれど、そこにとらわれずにいつもどおりに現場に行こうと思いました」と語る。宮田については「生き方が不器用で、表現が下手な人。でも唯一彼には家族という宝物があって、それを一生懸命に守ろうとしたんでしょうね。後はもう何ひとつ趣味もないし、真田との友情だけが支え」と分析する。

宮田は「平凡であることを恥じるな」と、真田に言い聞かせる。「僕個人よりも、とっても男っぽい、男ぶっている人。僕自身も男っぽく振舞いたいと思うことはたくさんあるので、それをやれるっていう快感がありました。親友にどなってみたりなんてこと、ふだんはあまりできないので、それは楽しかったですね」と、役を通して宮田のダンディズムを楽しんだ。

光石にとってのダンディズムとは、「ぶれず媚びずに生きている男ですかね。その場や時代の空気を読んだりする嗅覚を持ちつつ、ちゃんとぶれずに媚びずに生きている男っていうのはかっこいいですね」という。

「僕らの若いころのおじさんたちって、みんな素敵だったんです。石原裕次郎さんが最初に『太陽にほえろ』でボスをやったのが38歳らしいんですよ。それを聞いてびっくりしました。38歳であんなにスリーピースが似合って、ブランデー飲みそうな……(笑)。僕らが実際その年になってみると全然そんなことなくて、なんか当時と今のギャップがありすぎて。当時はどんなおじさんでもかっこいいと思っていましたね」

今作で中年男性の不器用な生き方や父親の愛情を体現する。現代の若者に対して伝えたいことは、「ちゃんとおじさんにも歴史があって、おじさんも若かった。おじさんだっていろんなこと考えているし、おじさんだってちゃんと生きているんだ、楽しみもあるんだ。で、お前らもいずれおじさんになるんだから、覚悟しとけって(笑)。でも、おじさんも結構楽しいもんだよって、言ってあげたいですね」と笑顔で語った。

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