ROBOT元社長、退職した理由は「RAILWAYS」!?

2010年6月18日 16:22


鉄道ファンも感心した運転席シーンの舞台裏を解説
鉄道ファンも感心した運転席シーンの舞台裏を解説

[映画.com ニュース] 中井貴一の主演映画「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」でメガホンをとった錦織良成監督と製作総指揮を務める阿部秀司プロデューサーが6月17日、東京・秋葉原のデジタルハリウッド大学本校で公開講座を行った。

出世街道を歩む50歳を目前に控えたエリート会社員の主人公(中井)が、故郷・島根県のバタデン(一畑電車)の運転士になるという少年のころの夢に挑むことで、離散状態だった家族のきずな、信頼を取り戻していく姿を描く。

錦織監督は同作の企画を10年以上温めていたといい、「まず、電車を扱った邦画がないなという思い。オリジナル脚本で、中年が主人公という内容は今の(日本映画の)現状では難しいチャレンジだった」。一方、阿部プロデューサーは「逆にそういう映画がないから作るんだよ」と錦織監督を鼓舞。「中年の男が運転士になる。きっと見た人に勇気を与えられるんじゃないか。アリだなと思った」とプロデューサーとして勝機を見出したという。

劇場公開が始まると、中井演じる見習い運転士がバタデンの運転席に立っているシーンが、大きな話題を集めた。運転士の免許をもたない者は、たとえ映画の撮影であっても、電車の運転席に立ち入ることができないからだ。錦織監督は「バタデンとの話し合いを1年以上続け、行政や国にも粘り強く働きかけ、やっと許可を得た。もちろん、中井さんは運転していない(笑)」。公開前のインタビュー取材を振り返り、「鉄道事情に詳しくない記者さんは『中井さん、運転上手でしたね』なんて言うし、逆に鉄道雑誌の取材だと『CGなしでどうやって撮影したんですか?』って質問されて」と語った。

阿部プロデューサーは、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズを手がけたヒットメーカー。公開前にはタイトルの類似も指摘されたが、「たまたま似ていて、自分でも『あれ?』って(笑)。信じてもらえないけど、本当に偶然の一致です」と釈明。また、今年3月、自身が創業した制作プロダクション「ROBOT」の代表取締役社長を退いた件について、「ちょうど、この作品を撮影中に60歳になって、『このまま70歳まで社長室にいるのかな』と思ったらイヤになって……」と説明。夢をあきらめきれず電車の運転士を目指す主人公に、自分自身を重ね合わせたといい、「意外とスパっと、後ろ髪を引かれることもなかった。これ(「RAILWAYS」)作らなかったら、会社は辞めなかったかもしれない」と話した。

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