名作「十二人の怒れる男」をロシアの巨匠N・ミハルコフがリメイク

2007年9月10日 12:00


[映画.com ニュース] 社会派の映画作家、シドニー・ルメット監督の不朽の名作「十二人の怒れる男」(57)を、「黒い瞳」や「太陽に灼かれて」(94年にアカデミー外国語映画賞受賞)のロシアの巨匠、ニキータ・ミハルコフ監督がリメイク。その新版「12 Angry Men」が第64回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門出品作としてプレミア上映された。

オリジナル版「十二人の怒れる男」は、殺人の容疑を掛けられたある少年の裁判で、満場一致で有罪判決になりかけたところへ1人の陪審員が無罪票を投じて他の陪審員を説得していくという密室劇だったが、今回のリメイク作に当たってミハルコフ監督はロシア独特のスパイスを込めたようだ。12人の陪審員たちはロシア社会を投影する12人のキャラクターが集められ、継母を殺した罪に問われる少年は、孤児のチェチェン人だという。これらの設定から、ロシアに歴然と存在する人種差別問題や不安定な経済状況などの社会問題が浮き彫りにされる。

「12人の陪審員というのは、現在チェチェン共和国で取られている裁判制度とは違うし、この映画は現実の法廷に置き換えることは出来ない。陪審員たちが少年を裁いていく過程で、チェチェンで育っていく少年の生い立ちや、彼が人生を通じて為すべきテーマが見つかるようになってるんだ」とミハルコフ監督は語る。

オリジナル版でヘンリー・フォンダが演じた、たった1人無罪を主張する陪審員を演じるのはセルゲイ・マコベツキー(「フリークスも人間も」)で、ミハルコフ監督自身も陪審員長役として登場している。

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1930年代のスターリンの大粛清をテーマに、旧ソ連映画を代表するニキータ・ミハルコフ監督が、激動の時代に引き裂かれた男女の悲劇を描く。

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