台湾の映画監督エドワード・ヤン、ガンのため逝去
2007年7月2日 12:00
[映画.com ニュース] 00年の「ヤンヤン/夏の想い出」でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞した台湾の映画監督エドワード・ヤン(楊徳昌)が、6月29日、米カリフォルニア州ビバーリーヒルズの自宅で亡くなった。59歳だった。死因は大腸ガンによる合併症。7年間、ガンとの闘病生活を送っていた。
47年11月6日に上海で生まれたヤン氏は、2歳の時に家族と共に台湾へ移住。台湾交通大学とフロリダ大学でエンジニアリングを専攻、のちに映画製作に興味を持ち、南カリフォルニア大学映画学科で映画を学んだが中退し、しばらくアメリカで電気技師として働いていた。やがて台湾に戻って映画脚本家となり、82年のオムニバス映画「光陰的故事」(未公開)の1編を手掛けて映画監督デビュー。以後、89年の「恐怖分子」、91年「[牛古]嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」、94年の「エドワード・ヤンの恋愛時代」、96年の「カップルズ」を監督。一作ごとに、台湾の首都・台北が経済都市として発展し変貌していくさまをとらえながら、先鋭的な映像表現を模索。ロングショットによる長回しなどに定評があった。事実上の遺作となった「ヤンヤン/夏の想い出」ではカンヌ映画祭監督賞の他、ニューヨーク批評家協会外国語映画賞を受賞。同年、アン・リー監督の台湾映画「グリーン・デスティニー」があったため、米アカデミー外国語映画賞にノミネートされなかったのが惜しまれる。映画の未来を担うべきアジア映画の巨星が逝った。
「[牛古]嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」「カップルズ」に主演した台湾のスター、チェン・チェンは7月1日、「彼は私の演技に霊感を与えてくれる先生で、僕が最も尊敬していた映画監督の1人だった」と、Sina.comに追悼コメントを寄せている。
なお、ヤン監督は闘病のさなかも、ジャッキー・チェンが共同プロデュースしたアニメーション「The Wind」を製作中だったと伝えられている。ジャッキーをモデルにしたようなカンフーの達人の青年を主人公にした物語だった。