ディズニー対ドリームワークスのバトル激化

2003年6月10日 12:00


アニメーション映画の公開日を巡り、ディズニーがドリームワークスにケンカを売った。ドリームワークスは、海中を舞台にしたCGアニメ「シャークスレイヤー」の全米公開を04年11月5日にするとすでに発表していたのだが、そのライバルであるディズニーが、ピクサー社製作のCGアニメ「ジ・インクレディブルズ」を同日に公開すると発表したのである。ディズニーとドリームワークスのアニメーション部門は犬猿の仲だが、これはディズニーのマイケル・アイズナー会長と、かつてその部下として働いていた現ドリームワークスのジェフリー・カッツェンバーグとの確執に端を発している。これまで自社作品の公開日を巡って、幾度となく勝負を繰り広げてきた両社であるが、今回、ディズニーが強気に出たのは、ピクサーとの関係によるところが大きい。

ディスニーはピクサーと配給契約を結んでいるが、製作費は折半、取り分は6対4、しかも、ディズニー側が所有権を保持と、ピクサー側にはきわめて不利な条件である。しかしピクサーは、05年公開予定のジョン・ラセター監督作「Cars」をもってディズニーとの契約が切れるため、その後の動向が注目されている。最新作「ファインディング・ニモ」にしても全米で大ヒットを記録し、ピクサーは引く手あまたのドル箱プロダクションだ。

そんな状況に、ディズニーは相当の危機感を抱いているようだ。自社アニメが必ずしも好調とはいえないディズニーにとって、打率10割を誇るピクサーの存在は非常に大きい。多少、ピクサー側に譲歩してでも、再び契約を結びたいと考えているようだ。アイズナー会長も、「ピクサーとの関係が変化してしまうことはあっても、パートナー関係であることには変わりはないと信じている」と株主総会で発言している。

今回、ディズニーがピクサー作品「ジ・インクレディブルズ」の公開を、ドリームワークス作品にぶつけたのは、ディズニーなりの誠意と見ていい。ピクサーにしてみれば、昆虫映画「バグズ・ライフ」が「アンツ」に、海洋映画「ファインディング・ニモ」が「シャークスレイヤー」にと、これまで2度にわたってドリームワークスに企画を模倣されている。そんなドリームワークスに対しディズニーが毅然とした態度を示すことによって、ピクサーの支持を取り付けたい考えだろう。

ちなみに、ピクサー作品をぶつけられたドリームワークスは、現在「シャークスレイヤー」の公開日の変更を検討しているという。

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