青春ジャック 止められるか、俺たちを2のレビュー・感想・評価
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予想より愉快で清潔な映画
佐藤栄作・安保反対・東京五輪や沖縄返還からバブル崩壊まで全てを観てきた全共闘世代の逞しさから生まれた熱量。 ただ起き上がる為にまず転べと教え 反大林と笑い飛ばすユーモアも楽しい。
「監督・脚本 井上純一」
私が映画を趣味にしてから10年弱が経ちますが、前作『止められるか、俺たちを』を劇場鑑賞した2018年を振り返ると、その年の劇場鑑賞作品総数は190本。当時は鑑賞都度のレビューは書いておりませんでしたし、休日には1日に数本梯子することもあって、今に比べると若くて体力、記憶力があったとはいえ、少々「雑な観方」であったことは否めません。
そもそも前作については「白石和彌監督作品」というのが劇場鑑賞を決めた理由であり、正直、若松孝二監督については「いくつかの監督作品について鑑賞した記憶がある」程度の知識で、あまり思い入れがなかったと思います。その後は若松監督や本作に名前が出てくる方たちの作品も観て知り、今回は逆に(井上)監督ではなく「若松孝二への興味」からすぐに劇場鑑賞を決め、公開週の土曜にテアトル新宿へ遠征です。
鑑賞した感想は、思いのほか良かったです。それはまず前述したとおり、私自身が映画を当時よりも多く観て知ったことが一つ。そして、71年生まれ(年号で言うと若松監督に聞き返されます)にとって、本作の時代感に明るいことが一つ。さらに、前作の作品性が少々暗い印象だったこともあり、本作のたまに笑える雰囲気が意外に感じつつもむしろ好印象で、劇場の雰囲気も良かった気がします。また、こう書くと「観る人を選ぶ」と思われそうですが、そこも前作よりもいい意味で万人受けする作品に仕上がっていると思われます。
そして井上監督が脚本、プロデューサーを務めた『福田村事件(23)』繋がりですね。前作からさらにアップグレードされた憑依演技の井浦さんがサイコウなことは言うまでもなく、相変わらずのヘタウマな味わいの東出さん、そして今回も東出さんのパートナー役、コムアイさん。さらに小さい役ですが「バーのママ役」田中麗奈さんの見過ごせない女っぷりは、なるほどあの時代の脂ののったオジサマ方が通う店として説得力があります。
そして終盤、下手を打つと「蛇足」に成りかねない演出ですが、井上監督の若松監督に対するリスペクトや愛を感じ、想像を超えて感動します。「今回は井上監督ではなく」なんて、井上監督、申し訳ありませんでしたと思いつつ、流れるエンドクレジットにジーンとしていると最後に「監督・脚本 井上純一」。正直思わず泣きそうになりちょっとすぐには立ち上がれませんでした。しみじみと良かったです。
噂真の岡留
おーばやしをはじめ監督名がどんどん出てくるので、コアな邦画ファンにとってはニヤニヤしどころいっぱいだろう。
イノウエ君の成功物語にしなかったところが良いのだが、杖もつかずに転び放題だった時代、若松・赤塚はじめ筒井康隆・山下洋輔・タモリが疾走していた時代が羨ましくなる。
それにしても東出はもうちょっと何とか…ならんな。
雑談
83年4月名古屋の第二志望大学に入学、開館直後のシネマスコーレ会員番号52番。映研に入り一本だけ監督作もある。劇中で語られたのと同様、その前年に名古屋まで見に行った「爆裂都市」がダメで同時上映の舐めてた「水のないプール」に感動、それをきっかけに「若松孝二」を意識、「俺は手を汚す」もんだ。キネ旬映芸も読み、ピンクやロマンポルノの傑作にも触れた。ただ映画だけがすべてというわけではなく普通に就職してもうすぐ定年を迎える。そんなおいらにとって、この作品は時代背景も含め単純に測れない。そして分厚いパンフレットも読み物として楽しんだ。
映画で特に良かった点は東出昌大。「福田村事件」のエロい青年が、黙っててもあふれるフェロモンをフリーレン張りに消し去り見事に木全さんと化している。そして井浦新はもう若松孝二にしか見えない熱演。
だが嫌だった点も。まず井上の河合塾映画とそれにまつわる出来事の挿話が長すぎたことと金本の扱いが半端なこと。そして砂丘以降のまとめ方は意味不明で雑だ。
フィクションと明言されている金本は映画愛も創作意欲も語るべき葛藤をも抱えた存在であり、井上より若松孝二監督に接する機会も多いはず。サイドストーリーとして彼女を膨らませカタルシスに持って行くこともできたのでは。そして映画秘宝の坪井現支配人のコメント通り、あくまで若松監督と木全支配人の劇場にまつわるストーリーを中心にしたほうが良かったかもしれない。
とはいえおいらの青春のカタワレに触れられ、落涙したことも事実であった。
”映画愛”と”人間愛”溢れる熱き青春映画
若松孝二監督が代表を務めていた若松プロダクションを巡る青春群像劇でした。エンドロールの出演者の順番では、若松監督役を務めた井浦新がトップに来ており、確かに本作の中心には若松監督が間違いなく座ってはいました。ただ物語的には本作の監督を務めた若き日の井上淳一を演じた杉田雷麟と、本作の舞台である名古屋の映画館「シネマスコーレ」でバイトをしていた大学生である金本法子役を演じた芋生悠の2人の若者の物語でした。
”青春”なんていつの日のことかと思うほど遠い昔になった世代の私としても、若松監督やシネマスコーレの支配人である木全純治(東出昌大)という若者を見守る2人の眼を通して井上と金本の2人の若者を観られたせいか、”青春”が実に身近に感じられ、心が沸き立つような感動を覚えました。
特に心地よかったのは、登場人物たちの”映画愛”であり”人間愛”でした。若松監督の器の大きさにまずは魅せられ、サラリーマンを辞めてシネマスコーレの支配人になった木全と彼の妻との夫婦愛に温もりを感じ、映画の世界に身を投じようとする井上の両親の息子に対する優しさに触れ、そしてもがきながらも仲間を見つめた井上や金本の純粋さに遠き”青春”の日を思い出すなどなど、どれをとっても観る者の心を掴んで離さないものでした。
あと、映画の内容とは関係ないものの、封切り初日のテアトル新宿で行われた舞台挨拶の回のチケットを、残り4枚のところギリギリでゲット出来ました。劇場は満員御礼。そして上映終了後に井上監督はじめ、井浦新さんや東出昌大さんをはじめとする出演者や、音楽を担当した宮田岳さんに中野ミホさんが登壇され、一層の盛り上がりを見せました。エンディングテーマの生演奏を聴けたのも僥倖でした。
そんな訳で、内容も良かったし舞台挨拶も非常に印象深いものだったので、本作の評価は★5とします。
舞台挨拶付き上映!
映画館のメルマガで、本日の舞台挨拶を知り、ちょうど仕事休みの日だ~~と行ってきました。ミニシアターのため、俳優さんたちが間近に見られて感無量。
終了後ロビーにいらした有森さんに握手してもらえました~。
前作はガッツリ子育て中につき、映画館から足が遠退き作品自体知らなかったため、慌てて配信で見ました。少しテイストが違いますね。今作は単体でも十分楽しめますが、前作も見ておいて良かったです。
続編である今作は、1980年代が舞台。
若松孝二監督による名古屋の映画館シネマスコーレの立ち上げから運営、そこに関わる人々の物語であり、本作井上監督の若い頃の話。若松監督の追悼作品としても見応えあります。
若松監督を見たことがないにも関わらず、井浦新さんの監督役がそっくりと言いたくなるほどの個性的な演技でクセになりそうです。
こういうおじさんいるいる。クスリと笑えるところも多く、でもパワフルで、迷いがない。
「俺の視界から消えろ」は名ゼリフ。「ピンクを差別するな!」うん、作る側はほんっと大変なんだなって思いました。映画が好き、作る人、見る人、演じる人、経営する人。思いがつまっている映画でした。
井上君が失敗を繰り返し、自分が仕切らなきゃならないのにベテラン(若松監督)に注意される場面。金本さんのくすぶってる苛立ち。
そんな場面が、自分も経験あるので泣けました。泣く映画ではないのかもだけど、人生は悩みがつきません。
杉田君、この役にすごくピッタリな俳優さんでした。
結局、看板の「しねますこーれ」は、カタカナになってないのですね?
*****
本物の河合塾の紹介映画の美加理さんが出ていた「赤い秘密」ってドラマを、当時たまたま見ており、この1作でしか存じ上げなかったから後でパンフで知ってびっくり。
シネマスコーレ
1980年代、監督の若松孝二は、名古屋にミニシアターを作るため動いていた、
シアター名はシネマスコーレ、このシアターと監督に引き寄せられた、映画を愛する人達の物語。
こんな感じの映画です。
名古屋の出身で、脚本家であり監督でもある、井上淳一さんも、青春時代に客として、このシアターに通っていたそうです。
本作は、井上淳一さんの脚本と監督による作品で、監督自身の青春時代も描かれます。
シネマスコーレで行われた先行上映に行ってきましたが、
シネマスコーレの席に座ってシネマスコーレが舞台の映画を観るという、シュールな体験(笑)
面白かったです♪
名古屋人なら、シネマスコーレに通っている人なら、より楽しめます(笑)
井上淳一さんは『福田村事件』の脚本も書かれてますが、
本作のキャスティングは『福田村事件』とカブってて、豪華です(笑)
本作は『止められるか、俺たちを』の続編という事ですが、前作は観ておりません。
でも困らず楽しめました。
前作も観てみようと思います。
今作の舞台「シネマスコーレ」での超先行上映‼︎
若松孝二監督が名古屋に作ったミニシアター「シネマスコーレ」を舞台に描いた群像劇。
若松監督が代表を務めた若松プロダクションの黎明期を描いた白石和彌監督作「止められるか、俺たちを」の続編と言って良いかと。
若松監督役は井浦新さんが続投、そして名古屋の映画好きなら知らない人がいない木全支配人を東出昌大さんが演じた。
とにかくお二人のやりとりが超絶面白い。
そして前作で脚本を担当した井上淳一さんの監督・脚本。自身の経験をもとにされたとのこと。
映画監督を目指す若き日の井上さんを杉田雷麟くんが、映画を志しスコーレで働く女子を芋生悠さん💕が演じた。
そう、夢を追う若者たちの青春映画としても十分楽しめた。
まあ、長年スコーレに通っているので強い思い入れがあるのだけど、それを差し引いても映画愛あふれる傑作だと思う。
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