劇場公開日 2023年11月17日

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「ぼちぼち生きてたら、ええこともあるんや。」コーポ・ア・コーポ 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ぼちぼち生きてたら、ええこともあるんや。

2023年11月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

大阪のおんぼろアパート住人の群像劇。まあ、その設定でどんな奴が出てきて、どんなエピソードがあるのか、だいたい想像ができて、おおむねその通りに話が進む。だけど、そのあらかた想定内の話がじわっと沁み込んでくる。ガーンでもなく、ジメジメでもなく、あっさりでもなく、じわっと。だからたぶん幸せに生きている人には響かない。悩み苦しんでる人には物足りない。なんかな、ええんかなこんな風に生きてて、なんか足りへんのよ、って惰性で日々を過ぎしている人間にちょうどいい。
ちょっと可愛いのかどうか微妙な高橋さん演じる子が、あ、ビリーバーズのあの子か!って気づいた時には違う感情も湧いてきた。キャストに役名も出てこない踊り子のオバサンが去り際、マッチ一本分のお礼をするシーンは、胸がいっぱいになった。子を持ち、何かの訳でその子と別れなければならない身の上の彼女の哀切が痛いほど伝わってきた。人にはそれぞれの人生がある。その世界を、T字路sの歌声がよく似合っていた。コーポ・ア・コーポ。あ、ポコアポコをもじっているのか。じゃあ、その通りにちょっとずつ地味に生きていこうか。

栗太郎