ナポレオンのレビュー・感想・評価
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英雄は地に堕ちる
「ナポレオン・コンプレックス」とは、
身長が低い男性が持つ劣等感のことで
これが野心や攻撃的行動へのバックボーンになる、との
言説やあり。
が、語源となった『ナポレオン』の実際の身長は170㎝近くあり、
当時としては標準以上ともいわれている。
このあたりをどう描くのかも
本作を鑑賞するにあたっての個人的な興味。
で、結果、監督・脚本家共に、加えて制作にも名を連ねる主演俳優も、
本事象はアリと判断したようにも受け取れる。
『ホアキン・フェニックス』の身長は173㎝とも聞く。
西洋人にしてはさほど長身ではない。
それに比して『ジョセフィーヌ』を演じた『ヴァネッサ・カービー』は170㎝と背の高い部類。
その対比を活かした構成が随所に見られる。
歴史に名を残す英雄であっても、
本質は男であり息子であり夫であり父親。
「男」については先に挙げた要件、
「息子」については極端なマザコン、
「夫」については先に妻にマウントを取られ、ぞっこん惚れ込んでしまい、
浮気性を知っても強く言えず、望んで関係を続けてしまう。
「父親」についてはただの親馬鹿で、
要は私生活においては、とことん俗っぽい性格付けで、
徹底的に俗に引きずり下ろされる。
夜の生活で妻を満足させられないエピソードの部分は
その典型例だろう。
とは言え奇妙な夫婦関係も
最後には性差を超え肝胆相照らす仲になってしまうのはなんとも不思議。
歴史上の偉人についての{伝記映画}の語り口は殊の外難しい。
出来事は史実に忠実に描くにしろ、
人となりは監督・脚本家の史観が相当に入るものに。
邦画であれば〔関ヶ原(2017年)〕での『石田三成』像を、
一個の人間として描いた視点は秀逸も
生涯をざっとなぞったことに終始したのは不満が残った。
また小説の映画化ではあるものの
〔燃えよ剣(2021年)〕も似たような過ちを犯してしまっている。
『土方歳三』の一代記の抄訳のような
(共に『岡田准一』が主役なのは奇妙な符合)。
では本作の『リドリー・スコット』『デヴィッド・スカルパ』のコンビはどうかと言えば、
たいしたスペクタクルであり、
一個人について深く掘り下げた印象はあるにしろ、
随分と単調な一本になってしまった。
力作ではあるものの、直近の三作に比べれば
〔エイリアン(1979年)〕の前日譚二作に近い出来。
適宜テロップは入りはするが、
舞台となる時代の流れが把握し難いことも理由か。
有名な主人公も、
日本人にとっては子供向けの伝記でなんとなく知っているだけ。
歴史の流れの中で個々の出来事を捉え連環させる知識がないのも
その背景にはありそう。
見どころはダヴィッドの戴冠式の絵の再現のみ。
ナポレオンがこんなにも薄っぺらく表現されたことにショックでした。
彼のジョセフィーヌに対する愛はセックスと受胎だけなのか?
彼の戦術も思い付きとひらめきだけの猛進武将にしか感じれなかった。
リドリー・スコット監督もホアキンフェニックスもとても好きなのに。
1975年作キューブリック作品のレドモンド バリーの方がナポレオンじゃないのに、ずっと生々しいし、情景的だし、何よりも美しく、ナポレオンぽい。
大迫力。
ナポレオンとジョセフィーヌの愛情関係をベースに数々のナポレオンの戦績を大迫力で描き見応えたっぷりだけど史実に精通していないので自分的にはそこまで。後は、争いで失われる命が凄まじすぎるという衝撃の話。3時間弱は長くはなかったなー?
英雄か、悪魔か、それを凌駕する悪妻ジョセフィーヌとは実は勝利の女神?
ナポレオンの生涯、伝記モノかな、と思い、鑑賞。
ところが・・・先週、「首」を観たばかりなのに、
この映画も冒頭はマリーアントワネットの首が落とされるところから。
ギロチンもなかなかの恐怖映像。
この時代の西洋の映画は初めて観るかも。
ナポレオンの台頭、そして皇帝へ上り詰めるはあっという間に描かれる。
戦争シーンも初戦はともかく、その後はあまり描かれず。
むしろ、妻ジョセフィーヌとの関係の方が多く描かれていた。
このジョセフィーヌ、悪妻やら浪費家やら、おまけに旦那の居ぬ間に
浮気するわ。とんでもない女性なのに、ナポレオンはぞっこん。
どれだけ魅力的な女性だったのか。
そして、ナポレオンにあれだけ責められても、いつの間にやら立場逆転。
ナポレオンがマザコンすぎたのか、と思うほど。
戴冠式のあともしばらく勝ちは続くも、徐々に後継者ができない問題に
いらつくナポレオン。そして、ついには離婚したが、
その後のナポレオンの戦歴は・・・
失脚そして流罪・・・
彼女はある意味、勝利の女神だったのか?
有名なアウステルリッツやモスクワ遠征など、戦いのシーンは壮大。
特に最後のワーテルローの戦いは、すごかった。
3時間弱の長尺でしたが、あっという間でした。
ナポレオンを演じた、ホアキン・フェニックスはたぶん初めて見た。
ジョーカーとか見てないからなぁ。。。
ジョセフィーヌを演じた、バネッサ・カービーはすぐにわかった。
MIシリーズのホワイト・ウィドウ!!!
ナポレオン伝記というより、ナポレオンと妻ジョセフィーヌの愛憎劇でした。
戦闘シーンはさすがです。
ナポレオンを知るには良い映画でした。冒頭のマリーアントワネットの処刑のシーンはおもわず涙。14歳で言葉もわからない異国の顔も見たこともない、男のもとに政略結婚で嫁に出され、最後は国民ね憎悪を一身にうけ、断頭台の上でその短い生涯を終えた彼女のシーン。このシーンに自由、平等、博愛の崇高な理想を謳ったフランス革命の本質が映し出されている。革命は恐怖政治に続き、ナポレオンの登場を許してしまう。当時日本は江戸時代、1789年はまだ寛政の改革の最中。鎖国政策のもと平和な時代が続いていた。何百万の犠牲を出して手に入れたフランスの共和制。人権という言葉を知らず未だ封建社会だったが戦争で死ぬ人はいなかった日本。どちらがより良い社会と言えるのか。この時代、日本の塙保己一は群書類従を完成させます。盲目の農民の子供が教育を受け、文化史に輝く偉業を残せたのが江戸時代の日本の社会です。フランス革命とは戦争で、膨大な犠牲を出さなければ、人権を手に入れられなかった社会と、人権という言葉は知らなかったけど、障害者への教育制度がありそれが普通のこととして行われていた、江戸時代の日本。そんなことを考えた。
壮大な歴史絵巻
ナポレオンというエピソードに溢れ返った人物の伝記を3時間弱で描くには無理がある。上手く編集をしてあるものの、やはり多少の雑さは否めない。ナポレオンの人間性を描こうとしたものの、中途半端な出来になってしまった。それでも、戦闘シーンは見ものである。黒澤作品を思わせるほどの撮影技術を持って、圧巻の殺人絵巻が繰り広げられる。そう、いつの時代も戦争は所詮、国家の面子のためだけに、ゴリ押しされる個人の殺害でしかないのだ。ジョセフィーヌを演じたヴァネッサ・カーヴィーの演技力と美しさは比類ないものがある。ヒーローに対するヒロインの役から、そろそろ主役を演じても良いのではと感じる。衣装の出来はこの作品に於ける一番の出色だと思う。全体的に多少の脚色はあるものの、史実映画のであり、それ以上でもなく、それ以下でもない。
映画館で見てほしいわー
且つIMAXがおすすめだわー
戦闘音もだけど、音楽が際立つからIMAXをおすすめる!
演技派揃いは言うまでもないけど、細かい描写がとてーも多くてそこが個人的にはすごく好きだった。
(ナポレオンと対峙した時に毒を懸念したのかナポレオン側の水を飲む大使とか。)
切ないね。英雄だったはずなのにさ。
戦闘描写が割りかしグロ目だったからそこも個人的に評価高い。スプラッターまではいかないけど、上手い具合調整されたグロだった。
ジョゼフィーヌはナポレオンにとって母のような存在だった!
最初のギロチンのシーンには驚かされました。フランス革命の中で、国のお金を貪った貴族たちが処刑されるのですが、リアルな映像展開にあっという間に物語に引き込まれていきました。この時代にナポレオンは頭角を表し、出世街道をぐんぐんと歩んでいく姿は、まさに宇宙の采配としか思えないです。この出世街道を歩み、戦い続けてついにセントヘレナで没するまでに、実に61回の戦闘をこなし、その間に兵士300万人を失います。無謀なロシアとの戦いでは数十万人が雪の中で非業な死を遂げています。果たして彼の采配は正しかったのかと思うと苦しむところです。どんなに考えても戦争は国同士の単なる縄張り争いとしか思えません。これがこの映画の縦の線としたら、横の線はジョゼフィーヌとの愛と言えるかもしれません。少なくともこの映画はこの2本の線で成り立っています。ナポレオンが政治的に様々な施策を施したことにほとんど触れられていないので、不足感は否めないのですが(彼の金言もあまり出てこない)、これはこれで十分に人間ナポレオンの真実の姿に近いのかもしれません。ナポレオンにとってジョゼフィーヌは如何なる存在であったのか?これについては私見ですが「母親」であったのかもしれません。離婚してからも精神的に強く求めていたことからそう思わざるをえないでしょう。
追記 ジョゼフィーヌに子供が生まれなかったために離婚しますが、それが逆にナポレオンが終生愛し続けた理由なのかもしれません。
迫力とか質関係なく、面白くありません
いったい何を言いたいんだろう、そう思ってしまうくらい長大でつまらない作品でした。あんなロケーション、スケールの大きい撮影、衣装とかVFX等々、さすが巨匠のレベルで凄いんですが、とにかく面白みを見いだせなかったので、もはや何もかもやり尽くしてしまった映画作家の贅沢な遊戯だとしか思えませんでした。
ホアキン云々という前に、とにかくつまらん・・・
伝令兵は馬2頭使う
マリー・アントワネットの『首』で始まる英語で話すフランス版『レジェンド・アンド・バタフライ』で主人公の戦闘と恋愛を描く。
映画館で観るべきと思った大作。リドリー・スコットは『ゲティ家の身代金』の脚本家デヴィッド・スカルパと再タッグ。匂いフェチのナポレオンが「戦地から帰るまで風呂に入らないでくれ」とジョゼフィーヌに言った台詞や「余の辞書に不可能の文字はない」の台詞は出てくるか?
◯映画の日「タイトル通りの作品③」
20:05~22:56 金曜日 IMAX 1500円
ベートーヴェンに共感し、大奥を想う
個々の出来事は聞き齧っていても、基本世界史に疎いので、時系列が整理されて良かった。ただ描かれた心情は、ジョセフィーヌへの想いばかりで、戦禍を広げ続けた動機はよく分からなかった。気になった2点を別記する。
💣
1. ベートーヴェンの落胆を追体験
ナポレオンが出世したのは、1797年に王党派を大砲で鎮圧した事。ベートーヴェンは主権を市民に奪還したナポレオンを称え、1805年に交響曲第3番「英雄」を完成させる。しかし1805年、ナポレオンは世襲が約束された「皇帝」、つまり実質的なフランス国王を名乗る。この知らせに対するベートーヴェンの落胆と怒りは計り知れない。結局、独裁を武力で倒しても、新たな独裁が生まれるだけ。市民の力で革命を起こしたフランスでさえ、皇帝の誕生は防げなかった。
●~*
2. 離婚せずに済む後宮(大奥)の利便性
ジョセフィーヌと離婚せねばならない葛藤が描かれるが、「大奥」や「薬屋のひとりごと」を観すぎて若干キョトン。愛人でええやん、妾作りゃええやんって、後宮(大奥)ドラマに毒されて、嘗てのモルモン教徒っぽくなってる自分に愕然。
当時の空気感、再現力は必見です。
これはもうまごう事なき恋愛映画でしたね。
歴史を語るとき、権力闘争や戦争など歴史的な事象が目立ちがちですが、その歴史を積み上げていったのは人間です。
人間のすべての行動の要因はリビドーであるという言葉がありますが、権力志向や戦争行為にも男女の愛憎があるとも言えるかも知れませんね。
そう考えるとナポレオンという人物をジョセフィーヌとのことを中心にすえて観るという企みは悪くはないのかもと思います。だだし、成功したかどうかはまた別でございます。
リドリー・スコット監督らしい、こだわり抜いた映像はいつもながら酔わせてくれますしホアキン・フェニックスは言わずもがな、大好きなバネッサ・カービーの妖艶な魅力はたまりません。
だがしかし、肝心な二人の愛憎の深さがいまひとつ伝わりません。もちろん、わたしの感性が鈍っているのやも知れませんが、少しあっさりしすぎのように感じました。
だにしても、三時間を費やす価値は十分でございます。
是非ご鑑賞くださいませ。
1人の男としての英雄ナポレオン
特異な戦術と圧倒的なカリスマ性で軍を従えるナポレオンだが、その反面、色物事情には弱いようだ。
溺愛するジョゼフィーヌに翻弄される英雄ナポレオンの姿は、ナポレオンは1人の男であるという一面を映し出す。
私なしではあなたはただの男という言葉が、過去の英雄ナポレオンの意外な一面を言い表している。
映像美やカットの仕方、カメラワーク全てが素晴らしかった。映画の日にドルビーアトモスで鑑賞
リアリティ高い戦闘シーンと強い執着心
まず、グリーンスクリーンではないと見える戦闘シーンは圧巻。あっぱれです。
が、馬を倒すシーンは心が傷みました。
そこだけはCGでありますよう…
映画が始まって最初の奇襲攻撃ではナポレオンの内にある恐怖心を感じさせる息遣いと震え、闘いが成功に近付くにつれ高揚感伴う不敵な笑みにナポレオンの内面がよく表されていたと感じました
美しいジョゼフィーヌに一目惚れしたシーンは笑いました(^^)ナポレオンも恋すると可愛いじゃない
女性目線としてジョゼフィーヌはボナパルトを愛していたのか、居場所を確保するための行動だったのか、最初はそうだったとしても後半は彼を求めていたのか…
その点に着目させられました
音楽がほぼ絶え間なくかかっていたので、もう少しメリハリをつけても良いんじゃない?と感じました
170分といえど長さは感じない作品でした
メールが無い時代だからこそ
日本の中世もあちらの中世も手紙は沢山書かれ残っている。時代考証、そして人なりを考証する上でも大きな手掛かりとなろう。
そしてまたナポレオンがジョセフィーヌに宛てた手紙も物凄い数が残っているそうだ。
我らがリドリー翁はこの英雄譚を愛の物語として描いてくれた。彼が皇帝までに登り詰めることよりもこの愛と悲恋ともいうべき結末を描きたかったようだ。
どの場面もうっとりする位、ゴージャスで迫力ある画だったことには感服。
フランス革命にも疎く、もう少し、歴史も絡めて長編ドラマとして欲しい。再来年の大河ドラマに推薦!
アンチ・ナポレオン?
ホアキン・フェニックスといえば、「ジョーカー」の怪演で知名度大幅アップしましたが、リドリー・スコット監督作品なら、「グラディエーター」の憎たらしい悪役でとっくにお馴染みでしたね。
それにしても、英雄ナポレオンまで怪演になるとは、予想外でした。
フランス人と仲が悪い(?)イギリス人監督だからなのか、従来のイメージの時代精神的ナポレオン像ではなく、不器用で田舎者っぽい、おっさんくさい姿に描かれています。
ナポレオンに何か恨みでもあるんですか? と問いたくなる内容。
込められたメッセージは、どうやら、野心から戦争を重ねて多数の人を犠牲にしたという糾弾のようですが、フランス革命後期のカリスマ的指導者の実像が、あんな凡庸な人物だったのなら、多くの人々の支持を得ることなどありえなかったでしょう。
私にナポレオンの肩を持つ義理はありませんが、実在の人物を描く作品にしては、公平さに欠けるように感じました。
フランス革命とナポレオン戦争の予備知識がないと「なんで戦争ばかりし...
フランス革命とナポレオン戦争の予備知識がないと「なんで戦争ばかりしてるの?」「この人誰?」ってなるかと思います。
英雄ナポレオンと人間ナポレオンを対比させていますが、どうにも中途半端なように思いました。
ナポレオンの事績を追いかけるのも駆け足だし、ジョゼフィーヌへ入れ込んだ理由も分かりにくい。
アウステルリッツやワーテルローの再現は迫力があり、ルイ・ダヴィッドの絵画を再現したような戴冠式は流石に巨匠ですが、クフ王のピラミッドを砲撃したり、ジョゼフィーヌの不倫を知ってエジプト遠征軍を放り出して帰国するなんてあんまりじゃありませんか?
二つの孤独な精神の交流
2023年。リドリー・スコット監督。マリー・アントワネットが断頭台に送られたときに一人の将校に過ぎなかった男が、大胆な軍事作戦を成功させることによって成り上がっていき、やがてフランス皇帝となった後、急速に没落していく様を描く。冷静沈着で目的遂行のためには手段を択ばない冷酷無比な人間離れした男としてのナポレオンが、唯一人間らしい交流を持つのがジョゼフィーヌ、という設定。常に満たされない憂い顔のフェニックスと目玉の大きなびっくり顔のカービーが、人間味をまったく感じさせない、かといって愛がないわけではない夫婦を演じている(こういうのを怪演というのではないか)。全体に重苦しくシニカルな人間観が漂っている。
この二人以外はほぼエキストラといってもいいほどの密度でそれぞれの孤独と二人の関係が描かれていく。ほんの一瞬の心の交流があればそれで人生はめっけもので、そのほかの大部分は労苦に過ぎないという暗鬱なメッセージを突きつけられている気がする。しかもその一瞬さえ偽りかもしれない不安がつきまっているのだ。
映画の最後にナポレオンが率いた戦争の死者数が現れる。つくづく、革命の熱狂の余韻がなければこれだけの死者を生み出す戦争は成し遂げられなかっただろうと感じられる。ナポレオンが世界精神の体現者として表れて歴史は終わる、とヘーゲルは考えたらしいが、人々を死に追いやる世界精神とは何だろうか。
英国人が描くフランス
英国人のリドリー・スコットがフランスの英雄ナポレオンを描く。なぜ?
ナポレオンを演じるホアキン・フェニックスは様々な民族の血が混ざっているので、ナポレオンの出自からすると最適なのですが・・・。
結論から言うと面白くなかったです。ただ飽きる事はなかった。
戦争シーンは迫力あるし、何より怪優ホアキン・フェニックスがここでも見せてくれるので、彼が出てるだけで異様な雰囲気がスクリーンから発せられるます。
でもそれだけ。
フランス革命からワーテルローの戦いはヨーロッパ史では常識なせいか、描写があっさり過ぎ。何よりもナポレオンとジョセフィーヌの関係が全く面白くないのにやたら時間を費やしている。
そもそもリドリー・スコット監督に(下手だから)男女のドラマなんて求めてはいないのに、監督自身がそれが下手なのを自認していないからだと思う。
でも一番ガッカリしたのは普通のワイドスクリーンの映画だったこと。
ナポレオンにまつわる映画は意外と少なくて、すぐに思い浮かべたのは1927年のサイレント映画。それをフランシス・フォード・コッポラが復元し、日本では黒沢明監督が協力して公開された、オーケストラ伴奏の3面マルチスクリーン上映のもの。
それがあるからフランス史なのに、映像派リドリー・スコットがナポレオンを撮って、最高の絵と音に拘った絢爛豪華な映画になると期待したのになあー、至って普通の歴史劇である。
これなら2部作にして、砲長から皇帝に登りつめる栄華を描いた前編と、ロシア進行からワーテルローの戦いの敗北を描いた後編でじっくり観たかった。
全290件中、161~180件目を表示