劇場公開日 2023年10月6日

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「すごくプロレスらしいし猪木っぽかったと思いますよ。」アントニオ猪木をさがして ウシダトモユキ(無人島キネマ)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0すごくプロレスらしいし猪木っぽかったと思いますよ。

2023年11月19日
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そもそもですよ、
たかが2時間足らずの劇場作品1本で、アントニオ猪木を語り尽くそうなんて、作り手にはおこがましい話だし、
たかが2時間足らずの劇場作品1本で、アントニオ猪木の歴史を網羅したり生涯を総括しようなんて、観客にも欲張り過ぎな話じゃないですか。
批判されて当然だし、期待外れで当然の映画作品だったとは思いますよ。

でもそういう、ちょっと胡散臭くて、けっこう雑に荒削りで、それでも暑苦しさがあって、それが世間様やガチ勢からもブーブー言われるのって、ある意味むっちゃ猪木っぽいなって、思うんですよね。

「アントニオ猪木なら、ホウキとでも良いプロレスができる」って言う人もいるように、「こんな映画に対して、あなたはどんなプロレスができますか?」って話じゃないかと思うんですよ。

格闘技ではなくプロレスファンなら、勝った負けた、強い弱いの奥にドラマを読み取って熱くなれるでしょ。
作品としての巧拙の奥に、猪木ファンは何を探し出せるかってことなんじゃないですかっていう。

やたらと非難轟々のドラマパートですけども、そのダサさと強引さ、それでもやっぱりグイグイ来る感じ、それこそプロレスらしいなと、ちょっとウルっとかしちゃいましたよね。

産廃業者で働いてるくたびれた安田顕が、猪木引退ロードのベイダー戦を観て、泣きながら「ガンバレ!ガンバレ!」って呟くシーンあったじゃないですか。
あれ、猪木に対するガンバレじゃなくて、こんな自分に対するガンバレ!ですよね。映画好きのあなたならそんな演出余裕で理解できたでしょ?プロレスの魅力って、すげーそれなんですよ。

プロレスファンは、猪木ファンは、猪木やレスラーの体を借りて、自分を応援できるんですよ、ガンバレ、ガンバレって。そんでプロレス会場から出て、また自分の明日をがんばって戦えるような気分になるんです。プロレスって、猪木って、こういう力があったんだよって、けっこう端的に教えてくれてるなと感心したんですけどね。

僕が探して見つけたアントニオ猪木はこんな感じでしたけどね、いかがですかね、、、

ウシダトモユキ(無人島キネマ)