栗の森のものがたり

劇場公開日:

栗の森のものがたり

解説

イタリアとユーゴスラビアの国境に位置する広大な森を舞台に、ケチな棺桶職人と夢見る栗売りの人生を絵画のような映像美でつづった大人の寓話。

1950年代、美しい栗の森に囲まれた国境地帯の小さな村。長引く政情不安から多くの人々が村を離れていく中、老大工マリオは家を飛び出したまま戻らない息子からの連絡を待ち続けていた。一方、栗売りのマルタは、戦争へ行ったまま帰ってこない夫からの手紙と数枚の写真を手がかりに、現在夫が住んでいると思われるオーストラリアへ旅立とうとしている。ある日出会ったマリオとマルタは互いの境遇を語りあい、やがてマリオはマルタにある提案を持ちかけるが……。

フェルメールやレンブラントといったオランダ印象派の画家に影響を受けたというスロベニア出身の新鋭グレゴル・ボジッチ監督が、ロシアの文豪アントン・チェーホフの短編にインスピレーションを受け、人生の機微をメランコリックに描き出す。

2019年製作/82分/スロベニア
原題:Zgodbe iz kostanjevih gozdov
配給:クレプスキュールフィルム
劇場公開日:2023年10月7日

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(C)NOSOROGI TRANSMEDIA PRODUCTION RTV SLOVENIJA DFFB 2019

映画レビュー

5.0栗が川を流れるだけで感動させる力がある映画

2023年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

不穏なおとぎ話であった。ショットの完成度が非常に高い。どのショットもばっちり絵になっていて、それらを観るだけでも感動できる。冒頭の穴を埋めているシーンはややスローモーションをかけているのか、なんだか超現実的な白日夢のような美しい雰囲気。特に好きなのは、たくさんの栗が川を流れていくショット。ただ栗が流れているだけなんだけど、自然の摂理のようなものを強烈に感じさせて大変に印象深い。
舞台はイタリアの国境近くにある村で厳しい寒さに襲われる土地。一人息子がでていき、病に伏した妻を介護しながら生活している老人、夜中に医者の所に連れて行ったらそっけない対応をされるときのわびしい感覚。身を斬るような寒さと人の心の冷たさを融解するのは、自然の美しさと帰らない夫を待つ美しい女性との出会い。栗の森が二人を結び付ける。その出会いが現実なのか、幻想なのかもよくわからない。寓話と現実が入り混じる桃源郷で見る夢のような作品。美しい幻想に浸れる至高の時間だった。

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杉本穂高

3.0"ヤブ医者"

2023年12月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

物語が静かに淡々と進んだり戻ったり混乱する時間軸や不穏な雰囲気から色彩豊かな季節が絵画のようで、不意にノリの良い音楽が流れたり死神のような三人が登場する場面はコミカルな描写に映ったり、栗売りの女性が主人公かと思いきや大工の老人マリオが中心に語られる劇中、説明を省いて映像で描かれるマルタの過去や現在が幻想的でミステリアスにも。

マリオやその他老人が熱狂する賭け?のルールが知りたくなったり、マルタの部屋の壁紙が素敵だったり家具にも目移りしてしまう、全体的な雰囲気が嫌いにはなれない興味深い作品でありながら退屈感は否めない。

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万年 東一

5.0内容が僅少だが、僅少なだけに、情報量の多い映画では与えられないよう...

2023年11月25日
iPhoneアプリから投稿

内容が僅少だが、僅少なだけに、情報量の多い映画では与えられないような豊かさを与えてくれる、そんなような映画。ドラマを映画にしたとか、アニメを映画にしたとか、色々なジャンルがあるのだけれども、こういう映画は、こういう映画こそ、映画としてでしか表現できないような映画。鑑賞時の環境がすごく大事になる映画だけど、今回は客席の具合も自身の少し倦怠的な精神状態もあいまって非常に良い状況で見ることができた。

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kp

3.0なんのことやら、さっぱりわからん。

2023年11月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

映画の予告編を観て、鑑賞をそそられた。鑑賞前に他のレビューを読んで、これは観る人によって評価が別れる作品だなと感じた。

鑑賞してみると何が言いたいのが私には分からない作品だった。時代背景も現代なのか19世紀なのか分からない。馬車、ランプが出てきて昔の話と思いきや、裸電球、電話、自動車が現れて現代(但し、50年前)の設定だと判明する。追想、夢、白昼夢、幻想、幻覚と入り乱れ脈絡なくて話が分からなくなる。美しいショットもあるが、他のレビューアーが言うほど私には多くはなかった。冒頭と最後の方に同じ映像が流れる。棺桶を収めるべき墓穴に棺ではなく、いが栗を埋めるのだ。この栗は生命(または自然)の象徴であって、人間もその一部でしかないと言っているのではないかと思えた。背景に絶えず自然音が流れているし、洗面器に溜められた水から波の音が聞こえる。

観る人によりいろいろな解釈ができる映画に監督はしたがったかもしれないが、私には何のことやら、さっぱりわからない。。思わせぶりが高い映画で、監督はこの作品を理解できるかとほくそ笑んでいるかもしれない。バロック美術の影響を受けていると書かれたレビューもあった。でも私はあまり感じなかった。

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いなかびと
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