劇場公開日 2023年10月27日

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「激烈でありながら、無駄がなく痛快。全てを集約させたタイトルも秀逸」SISU シス 不死身の男 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0激烈でありながら、無駄がなく痛快。全てを集約させたタイトルも秀逸

2023年10月29日
PCから投稿

アクション、バイオレンス、ストーリーともに無駄を削ぎ落とし、それでいて一瞬一瞬の見せ方、振り切れ方によって観る者の魂を堅く掌握する。荒野で初老男が金を採掘する姿は米ゴールドラッシュの時代をも思い起こさせるが、しかしここは第二次大戦末期のフィンランド。ソ連やナチスドイツによって国土を踏みにじられた記憶を根底に置きつつ、奇しくも遭遇した主人公とナチスの戦車隊が壮絶バトルを繰り広げる様をスマートな動線で描き尽くす。老兵は驚くほど言葉を発しないが、体に刻まれた無数の傷跡は雄弁だ。そして彼が強いのではなく、決して諦めず、極限の中にあっても死ぬことを拒み続けるからこそ、死なないのだという論法と、それを裏付ける彼の戦いぶりに不思議と納得してしまう自分がいた。まさにこの精神性こそがシス。序盤の金塊をマクガフィンとして活かし、敵側が執拗に追う理由に繋げているところも巧い。91分間、激烈で痛快なスタミナ注入。

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牛津厚信