劇場公開日 2023年9月1日

  • 予告編を見る

「ガラへの一方通行の愛」ウェルカム トゥ ダリ カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ガラへの一方通行の愛

2023年9月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ダリの晩年の妻ガラとの歪な関係性をお手伝い役(監視役)?のジェームズの割とニュートラルな目線を通して見ている作品。

事実はどうかわからないが、
本作を見る限りダリはガラをミューズと崇め完全に依存しており、ガラは若いツバメに大金を援助するなど夢中になり、ダリをただの金を産む存在くらいにしか思っていない。

エキセントリックで人前では王様気質のダリをガラがある時は力ずくで、ある時は母のように優しくしながら上手にコントロールしている様が面白い。
ダリはガラに怒鳴られてもかまってもらう事が嬉しく、それを糧に発奮して創作活動に集中するなど可愛いところを見せるが、ガラの愛はそこにはないことが見ていて辛い。

またガラは金儲けに目がくらむあまり、ダリの知らないところで複製を売りまくるなど夫の作品へのリスペクトまで欠いており、作品の評価も散々だった晩年のダリの一方通行の愛情がかわいそうでならなかった。

作中でダリの絵画が一枚も出てこなかったり(権利降りなかった?)、渡米する前の様子があまり見れなかったことが残念だった。
一番幸せだった時期を描かず晩年だけを見せられるのは正直言ってあまり良い印象を持つことが出来ず辛かったが、奔放なジネスタ役のスキ・ウォーターハウスの小悪魔感がかなり良かったので帳消し。

カツベン二郎