劇場公開日 2023年7月21日

「どこを切り取っても絵になる」古の王子と3つの花 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5どこを切り取っても絵になる

2023年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ミシェル・オスロ監督の創作意欲が衰えていないことがまず嬉しい。本作は3つの物語のオムニバス形式で、それぞれ異なるスタイルの映像で描かれる。最初のファラオの物語は、エジプト壁画の横構図のような形式で、これがオスロ監督の絵のスタイルにすごく合っていて最高。色彩豊かに色泥られた古代エジプトの壁画が動き出しかのような感動がある。これは元々、美術館の依頼で制作したものだそうで、エジプト関係の展覧会の一貫で上映されたらしいから、来場者は実際の壁画なども見つつ、この映画を鑑賞したのだろう。「今観ていた壁画が動き出したぞ」みたいな感動があったに違いない。2話のシルエットの影絵劇も素晴らしく想像力を掻き立てるし、3話目はうって変わって極彩色の世界。とにかく、どこで止めても絵になる美しさ。

この映画を観ると、目が喜ぶ。

杉本穂高