劇場公開日 2023年5月27日

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「さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり」幾春かけて老いゆかん 歌人 馬場あき子の日々 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり

2023年6月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

歌人にして、能の世界においても重鎮である馬場さんを追ったドキュメンタリ。95歳で言葉も頭脳もはっきり。その地位に胡坐をかくことなく、日々の出来事や笑いにも貪欲で、世の中の先端につねに触れていようとする姿勢。後進への素晴らしい手本だ。もうも言うことありません。こういう90代を迎えたいということくらい。
そして、短歌は好きでも疎いわが身に「見せ消ち」という表現が突き刺さる。"花も紅葉もなかりけり"という言葉をつかうことで、そこにない花や紅葉を意識させて、あたかもあったかのように誘う。その気分は、寂しさではなく、郷愁のような淡く温かい残像。歌の世界は奥深い。

栗太郎