劇場公開日 2024年2月9日

「夜明け前の闇が一番暗いのなら、朝が来るまでうずくまってていいから生きよう。」夜明けのすべて のりたまちびさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5夜明け前の闇が一番暗いのなら、朝が来るまでうずくまってていいから生きよう。

2024年3月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

難しい

メンタルヘルスが言われて久しく、心療内科が家の最寄り駅近くにいくつかある現代。
「夜明けのすべて」は、PMS(月経前症候群)の藤沢さんやパニック障害の山添くんの日々ををのぞき見しているような気分になります。
しみじみと、心にしみわたる映画でした。

私は女性ですが、生理の時に体調や気分が悪くなることが全くなく、食欲が増進して2キロくらい増量するのがデフォです。
生理によってこんなに重い症状を抱えている人もいるのだとびっくりしました。
余談ですが、私の生理不順は、妊娠・出産でなおりました(生理周期が一定だと便利!)。
友人は、胃下垂が、妊娠時子宮が大きくなったことでなおり、栄養を十分吸収できるようになったそうです(その分、食べた分だけふっくらするようになりましたが)。
藤沢さんのような人も、妊娠・出産すると、体質が大きく変わる可能性はあります。

移動プラネタリウムの藤沢さんのナレーションは、素敵でした。
藤沢さんの声で語られる言葉に、共鳴しました。
「自転しながら公転している地球では、一度として同じ夜明けはない」
心して生きます。
この移動プラネタリウムのところで、唯一涙しました。

藤沢さんと山添さんの勤務先の社長の、自殺された弟さん。
映画では、弟さんは写真でしか登場しませんが、とても印象的でした。
彼は、移動プラネタリウムの原稿の元ネタになる音声と文章を遺していました。
頑張り屋さんで、昼よりも夜が好きで、きっと何らかの生きにくさを抱えていたのでしょう。
普通や常識に対する同調圧力や、違反者に対するヒステリックな反応を見ていると、少数派はしんどいと共感します。
彼の言葉をきちんと受け取りたいので、原作を読んでみます。
ちなみに、私は夜より昼が好きです、夜は得体がしれなくて怖いなと感じるからです。

個人の特性と、効率性や社会常識とのバランス。
自分を知り、社会との関係性を調整しながら、各々かけがえのない1日を積み重ねていけたらいいなと思います。

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のりたまちび