劇場公開日 2023年4月14日

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「坂口健太郎が漂い寄り添う癒し系映画」サイド バイ サイド 隣にいる人 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5坂口健太郎が漂い寄り添う癒し系映画

2023年4月16日
PCから投稿

坂口健太郎が演じるキャラクター・未山は、スピリチュアルな力を持つヒーラー(癒す人)。「そこに存在しない『誰かの思い』を見ることができる」と説明されているが、劇中で未山が「生霊」と言ったり、東南アジア系のおじさんの生霊?がいきなり話し出したり(この場面はちょっと笑った)、映画の世界観が厳密なルールで規定されているわけではなさそうだ。

行定勲監督とたびたびタッグを組んできた脚本家・伊藤ちひろが、監督デビュー作「ひとりぼっちじゃない」に続き行定企画・プロデュースでメガホンをとった第2作。MVやCMも手がける大内泰の撮影も貢献し、人物も室内も緑豊かな風景も柔らかな光に包まれ、ゆったりとした進行と相まって環境映像のよう。そんな癒し感に満ちた世界を、生成りの衣装をまとい浮世離れした坂口健太郎が漂うように移動し、疲れたり病んだりした人たちに寄り添い、手を当て、心と体を楽にしていく。

市川実日子も出演しているからか、一時期の荻上直子監督作品に近い雰囲気も感じられた。ドラマ映画のサブジャンルに“癒し系映画”があるなら、この「サイド バイ サイド 隣にいる人」もきっとそこに含まれるだろう。細かいことは気にせずのんびり癒されたい人には満足感が高いだろうし、それ以外の人にはとりとめなくふわふわした話が冗長に感じられるかもしれない。

高森 郁哉