劇場公開日 2023年4月28日

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せかいのおきくのレビュー・感想・評価

全103件中、81~100件目を表示

3.0臭いは無い映画から色も抜く。だから見られる。

2023年4月30日
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人の世の円環を語るべく延々執拗にそれを撮る。
その為に予め臭いは無い映画から色も抜く。
だから見られる。
阪本映画の喧騒の真ん中に終始密かに置かれていた物が見えた気が。
雨と雪に黒澤の気配。
秀作。

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きねまっきい

4.0幕末青春グラフティ

2023年4月30日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

萌える

幕末の安政の七年間は
日本にとっての激動の時代。

『ペリー』は浦賀に二度目の来航をし、
その後幕府は日米和親条約を締結。

大地震は頻発し著名人も多く亡くなり、
またコレラも流行。

安政の大獄も起き、
ついには『井伊直弼』が桜田門外で暗殺される。

しかしそんな中でも
日々の天気や日常のちょっとした事柄を気にしながら
市井の民は力強く生きる。

それはまさしく本作で描かれるように。

江戸時代の日本は超循環型社会。

着物も古着にし、仕立て直し
雑巾にし、糸すら再利用、
最後は燃やした灰まで売り払う。

古紙にしても、
漉き返してのリユースが徹底。

共に集める者や買い取り業者が存在するのだから
ある種のバリューチェーンがきっちりと根付いているわけだ。

それは、人糞についても同じこと。

高価な金肥の利用だけではなく
「おわいや」が各所から集めた糞尿は
一旦寝かせてから畑に使用。

商家や武家等、良い食事の家のものは高く、
長屋等から出たものは安く、等
ランク付けも有ったと言う。

『矢亮(池松壮亮)』は下肥買い、
『中次(寛一郎)』は紙屑拾いから、
何故か『矢亮』と共に働くように。

そうした二人が『きく(黒木華)』と
ひょんなことから知り合う。

彼女は元々は武家の娘も
父親の『源兵衛(佐藤浩市)』が上司の不正を直言したことで、
却って疎まれてしまい、
今では貧乏長屋暮らし。
寺子屋で教えることで生計を立てる。

『きく』は『中次』に恋心を抱いており、
そこで見せる幾つもの振る舞いがどうにも可愛い。

男二人が前に立つ厠に入れずもじもじする姿。
遠ざかって行く好きな男の足音を障子戸越に聞き耳を立てる姿。
和紙に「ちゅうじ」とひらがなで書き、それに魅入ってからじたばたする姿。
そして何よりも、長屋の汲み取り来た『中次』に
「そこに私のモノは入っておりません!」と声高に告げる姿。

他の作品でも見られることではあるけれど、
『黒木華』の芝居の面目躍如。
最初は おきゃん で、しかし
次第にしっとりとする若い女性の変化を存分に表現する。

当然、そうなる契機の事件はしっかりと用意され、
これは脚本・監督の『阪本順治』の如才の無さ。

人間が生きる上では、ゴミや糞尿の排出は不可避。
それを処理する仕組みがなければ、社会インフラは成立せず、
しかし我々は常々そのことを忘れている。

職業に貴賤は無く、また
人間は誰でも口から肛門までの一本の消化器官を中心にした
変わりない存在とのメッセージは受け取りつつ、
実体は幕末の日本で青春を過ごす男女のグラフティ。

困窮しながらも若い時間を謳歌する三人に未来はある。

社会が大きく変容する明治維新は、
もうそこまで近づいている。

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ジュン一

日本人のうんこ耐性について。

2023年4月30日
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鑑賞方法:映画館

イラストのウ○○はカワイイと思う。小学生用の「うんこドリル」も大ヒットしていて、本屋で見ると思わず笑ってしまう。だから、私も含めて日本人にはウ○○耐性(?)があると思っていた。
しかし、今作を見てヤッパシ実写だとダメだなと思った。白黒なら、コエ桶、肥溜め、コエをぶちまける場面でも全然OKだったが、カラー部分はダメだった。白黒でも長屋の肥溜めが溢れて地続きの通路の水溜まりと繋がっている場面はダメだった。足元からかぐわしき香り(^^)がプンプン臭ってきそうな気がした。

ついでにゲロの話。
実写でもアニメでもゲ○が苦手だ。最近はゲ○が流行ってるのか、「エブエブ」 「バビロン」 「トライアングル」でもゲ○の場面がある。なくても何も問題がないだろうと思う。私は勝手にゲ○3部作と呼んでいる。
映画では、ウ○○はほとんどないが、ゲ○はたまに有る。実物だけでなく、吐いてる場面や音もダメで目をつぶったり耳をふさぐ。ゲ○の場面はなくしてほしいといつも思う。

黒木華さんの演技が相変わらず良い。演技とは別に顔が時代劇にあってるように思った。池松壮亮さんは仮面ライダー役よりもこっちのほうが似合うと思った。「シン仮面ライダー」に出てた柄本佑さん、森山未來さんも似合うと思う。あと松山ケンイチさんも良さそうだ。

白黒映画では、武家屋敷や神社仏閣の白壁の白が映えてきれいだと思う。時代設定が昭和40年代より前の時代なら昔の感じがして良いと思う。白黒の風景もなんとなく好きだ。

去年、エコの話に関連して江戸時代の循環型社会の素晴らしさを知った。糞尿処理と農業に重要な役割を担っていたウンコ屋さん。食い物屋で、臭いから外で食べてくれとは言われたかもしれないが、映画の中のように毛嫌いされたり見下されたとは思えない(根拠はない)。逆に感謝されてる場面があれば良かったと思う。
ゴミを減らそうというより、流通量が少なかったり貧乏で買えなかったりして、とにかく物がなくて貴重だから無駄なく使うのだと思う。現代のように物が溢れていないから、要らないしジャマだから捨てるという発想がない時代だったのだろう。映画の中の紙のリサイクルはもちろん、様々な修理屋があったらしい。

2023/4/28(金) テアトル新宿

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マサヒロ

4.0小作品だが奥は深い 職業に貴賎の別なし、恋愛に貴賎の別なし だが現実はパンドラの箱でもう戻れない。

2023年4月29日
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泣ける

楽しい

幸せ

基本 根底が
①SDGs だかの江戸時代の循環環境社会 モノを大切にする、使い切る
②上から入れて下に出す 人間に境界線などないのだ
③時代劇温存保護

と言うわかりやすいテーマで

恋愛、職業に貴賎の別なし
【威張り腐っている武士はいらないが、下肥、糞尿業者がいなければ江戸は回らない】
プラス➕木挽町【銀座か❓明治以降は官庁街から商業地へ一等地になった】
の長屋の民衆讃歌的

コレ 有料パンフ受け売りだが、短編のパイロット版だかから、結局長編になった模様

だから、別れた8章が、別個にまとまりがあって面白い
1858〜1861

基本モノクロだが途中の章まで、一部カラー挿入されて、ハッとする

基本 黒木華のおきくさん 佐藤浩市の息子、三國連太郎の孫の 寛一郎 の恋❤️

だが糞尿業者 金払って江戸の糞尿を買い 田舎に売る商売 の過酷さ しかし人間臭さ の2つが軸
池松壮亮の矢亮ヤスケが 寛一郎・中次の兄貴分だが

このヤスケのセリフが効いている 味噌もクソも同じ、ここ笑うとこだぜ とか 素晴らしい
コレでお前と俺は臭い仲だ❗️【狼藉威張りくさる武士にモノをかけて】
舟漕ぎながら【鼠小僧 だかの講談調】も台詞回しが上手い。池松壮亮 器用な役者だ
いつのまにか老成の真木蔵人の坊主の【🍡団子】の話も愉快

糞 を巡る 会話が良いのだ。

それ以上に和服の似合う黒木華が良い
紙も人間も家も、最後は土に還る循環社会
それでも、人間は 汚穢おわい だと 臭い汚いと 差別する。

でも、最後に二人が乗り越えるのだ。それが良い⭕️ 言葉を発せられないおきくさん と 表現がわからない不器用
な中次 不器用すぎて素晴らしい👍
1時間30分の小作品 だが 説教臭くない啓発作品で素晴らしい

だが見てるワシ、水洗便所どころかウォッシュレットに慣れきって
もはや戻れない、 汚物は見ない と言うパンドラの箱開けてしまったズラ。

イヤイヤ皆んなZ世代は気取ってる気がするが、つい最近まで汲み取り便所当たり前にあったし
戦前までは糞尿を当たり前のように畑の肥料にしてた
肥溜めに落ちる と言うのは一つの通過儀礼だったことは認識に入れような、ワシも人のこと言えん。

佐藤浩市と寛一郎の親子共演も ウィル・スミスに比べれば極めて真っ当

映画好きの❤️皆さんのための叙情的作品。是非❗️

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満塁本塁打

3.5江戸の庶民生活を通して、現代社会を考える

2023年4月29日
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悲しい

幸せ

最近観た時代劇「仕掛人・藤枝梅安」が思いのほか良作だったし、本作の予告がモノクロで描かれていたことも興味深く、公開初日に鑑賞してきました。

ストーリーは、江戸時代末期、貧乏長屋で一緒に暮らしていた父を侍に斬り殺され、自身も喉を切られて声を失った武家の娘・おきく、人々に蔑まれながらも下肥買いとして生計を立てる矢亮、儲からない紙屑拾いに見切りをつけて矢亮とともに下肥買いをすることにした中次ら三人の若者たちが、先の見えない苦しい生活の中でも、自分にできることを探し、懸命に生きる姿を描くというもの。

時代劇といえば、武士が主役の剣劇や捕物、幕府内の権力争い、史実ベースの歴史物などがほとんどだと思いますが、本作で描かれるのは江戸庶民の市井の生活です。それも、下肥買いという汲み取りを生業とする若者の日常を描いていることが斬新です。当時の江戸は大都市であったにもかかわらず、インフラもしっかり整備され、とても衛生的であったと聞いたことがあります。それを支えていたのが、彼らの存在だったのだと気づかされます。

とはいえ、糞尿まみれで悪臭を放つ彼らを、世間の人は蔑み、ひどい扱いをします。そんなつらい現実を前にしても、ユーモアで自身を少しでも明るく励まし、懸命に強かに生きる矢亮の姿が印象的です。そんな矢亮を兄貴と慕う中次も、最下層の立場にあっても人として大切なものは失わない生き方が立派です。また、おきくも、落ちぶれても武家の娘としての誇りをもって生活する一方で、中次に思いを寄せて一人で恥じらう姿がなんともかわいらしいです。

そんな三人の姿を通して描かれるのは、当時のサスティナブルな循環型社会、それを支える最下層の生活の苦しみや悲しみ、それでも変わらず紡がれる親子や恋人との絆。江戸時代が舞台ではありますが、今に通じるものが多いです。というより、今だからこそ考えなければならない、感じておきたいものばかりです。

ただ、映像的には3人の生活が淡々と描かれるだけなので、ストーリーとしてのおもしろさは薄いと感じました。また、章立てで進むのですが、各章の終わりでところどころカラーになったのはなぜなのでしょうか。イマイチよくわかりませんでした。むしろカラーに違和感を覚えるほどで、モノクロの描写が矢亮たちの色のない生活を象徴し、ディテールを際立たせるのに奏功していたと思います。

主演は黒木華さんで、演技はもちろん、着物姿も所作も素敵でした。池松壮亮さんは、「シン・仮面ライダー」の本郷猛とはうってかわり、矢亮をいきいきと演じています。寛一郞さんと佐藤浩市さんの親子共演も見ものでした。あと、石橋蓮司さんが、めちゃめちゃイイ雰囲気を醸し出していました。

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おじゃる

3.5可愛らしさとやっぱりそうだ

2023年4月29日
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黒木華の可愛らしさでほっこり。池松壮亮のハマってるキャラクターとチュウジ!?
似てるよねってやっぱり親子共演でしたね。
アップになった時の雰囲気さすがです😄

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asgy213

5.0とりあえず

2023年4月29日
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上映前にコンセッションでフードとドリンクを買うのは止めた方がいいです。

カラーだとリアル過ぎて正視に耐えない。
モノクロで良かった。

あと、この映画、それほど面白くはない
でも、そんなに面白くないのが人生だから
ましてや庶民の日常なんて、
糞おもしろくもなくて当たり前だろう。
↑(ここ笑うとこです)

改めて、生きるって、なりふり構わないことなんだなと思いました。自分も見習わなければいけませんね。

追記
江戸庶民の生活を此程身近に感じさせる映画もないですね。すごくありふれた弱さの延長線に、いつの時代も庶民はいるのです。活きるためのひとの弱さと生きなければならないというひとの強さが体現されてる佳作です。

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ちゆう

4.0やさしさとつながり

2023年4月29日
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鑑賞方法:映画館

江戸時代末期の庶民の暮らしを描いていて、
黒木華さん、池松壮亮さん、寛一郎さんの三人が
とても役柄にぴったりで、特に池松壮亮さんが
〇〇ライダーの役よりも、ずっと生き生きしていて
こちらの役柄の方が素晴らしくいい。
全編モノクロ(ちょっとカラー)で描いたところも
とても好感が持てるし、作品の世界にあっている。
二人が演じた矢亮と中次に会ってみたくなる。
なんとも魅力のある作品です。

でも、下肥買いのシーンがちょっと多すぎませんか?

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マイタケ

3.0悪くはないが良い映画観たなぁというほどのものでもない。全体的に物足...

2023年4月29日
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悪くはないが良い映画観たなぁというほどのものでもない。全体的に物足りない。

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Mr. Planty

4.0壮絶なエピソードもあるけど、話はたんたんと。

2023年4月29日
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泣ける

笑える

安政、万延、文久という年号が出てくる。後数年もすると時代は明治に変わるそんな時代。
武士の娘として生まれたが、長屋で貧しい暮らしを送るおきく、汚穢やという最低辺の仕事をしながら(実際、ばかにされるエピソードも数々)生活を送る二人の若者、彼らは誰かを恨むこともなく、明るく助け合いながら真面目に生きている。あまりにも酷い状況には敢えて笑ってやり過ごす(おやじギャグ言って、コレ笑うトコなんですけど、なんてネ)。矢亮クン、ボクも笑わせてもらった。ホントに良い奴なんだ、彼らは。そしておきくと汚穢やの若者の一人中次との間に生まれる淡い恋。
彼らだけでなく人々の生活はあまりに貧しい。それでも現代の人々と心の奥底にあるものは変わらないんだろうな。そんなことを考えながら観ました。

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ゆみあり

3.5主人公の3人がとても愛おしくなる

2023年4月29日
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江戸時代の底辺で生きる3人の若者の日常が淡々と描かれる。おきくが喉を切られて声を失う以外、大きな出来事は何も起こらないが、3人の喜怒哀楽の様子を観ているうちに、彼らと彼女がとても愛おしく感じられるようになる。
なかでも、古風な顔立ちの黒木華は、時代劇にピッタリとはまっていて、日本人の原初的な美しさを体現しているかのようだった。
そうした古風な趣きは、スタンダードサイズの白黒の画面からも感じられるのだが、頻繁に出てくる糞尿の描写を見るにつけ、白黒で良かったとも思ってしまった。
また、各章の最後を締めくくるように映し出されるカラーの場面も印象的なのだが、最後の2章だけ、カラーにならなかったのは、何か意味があるのだろうか?特に、おきくと中次が抱き合う雪のシーンこそ、カラーで観たかったと思えるのである。
終盤、淡々とした物語に、どのような形で決着を付けるのだろうかと期待していたが、それをはぐらかすかのようなエンディングには、やはり物足りなさを感じざるを得ない。
ただ、その一方で、「いいものを観た」という後味の良さは確かに残った。

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tomato

ストーリー、演者、モノクロの良さが冴える作品だが、、

2023年4月28日
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鑑賞方法:映画館

単純

昨日封切り、第52回ロッテルダム国際映画祭ビッグスクリーンコンペティション部門ワールドプレミアとなった作品を観賞。

激動の江戸末期の安政年間、汲み取りを商いとする汚穢屋の若者、元武家の娘の人間模様を、庶民が暮らす貧乏長屋を中心に、基本モノクロで描く。

主演の黒木華をはじめ、男優陣が好演。石橋蓮司、佐藤浩市、真木蔵人らのバイプレーヤーがいい仕事をしており、ぬくもりを感じる映画。

モノクロならでは美しい映像を存分に味わえるのだが、モノクロをカラー映像に切り替えるシーンがごく僅かにある。その演出は少し不思議に感じた。

エンディング近くに出てくる台詞は「青春」。でも、青春ドラマとして締め括って欲しくなかった作品。

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Toru

5.0いとおしい、愛おしい作品。

2023年4月28日
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なにこれ何この映画、嘘でしょ超面白いんですけど…。うっそだあ、マジか、うーわっ、ってぐらい面白く、そして素敵な映画だったんだよ。小田和正のかの有名な名曲タイトルぐらい語彙力がもう…。この映画の世界観やストーリーを上手く説明が出来ないや。
江戸時代末期、貧乏な生活をしている若者達の、リアルな暮らし・世界を描いている、決してきれいではないけれど、だけど本当に青春がここにあるなあと強く感じられる作品。私は、知識が乏しいせいか、時代劇や洋画は文化を理解したりするのに時間がかかって心にすんなりとは入ってこない為敬遠しがちなのだが、そんな時代劇や洋画でも、たまに私の心にいとも簡単に侵入してくるものもある。それは、ひとなつこい後輩のように、すんなりと人の懐に入ってくる。「せかいのおきく」もまさにそうだった。何故か…。こんなに苦しくて辛いのにな。おそらくだけど、ベースが、私の好きなジャンルでもある、庶民の生活をリアル且つ少しコミカルに描いてくれてるから。(本当は今の時代からは想像出来ないような面倒くさいことやむず痒いほど苦しい生活を描いているんだけど、程よいコミカル具合が面白く心地良い笑いを誘ってくれる。) そして、面白い映画を形成する上で欠かせない条件のNo.1か2に入ると思うぐらい重要でもある、「登場人物が魅力的でいとおしい存在」であること、ってところがばっちり過ぎた◎いとおしさ100の人達がそこにいた。
黒木華、池松壮亮、寛一郎…(字余り…)。彼ら全員最高だった。彼らの良いところむっちゃ出てた。濃縮還元ありがとう。この人達でしか出来ない、作れない人物・キャラクターでした。(関係無いけど、黒木華に興味ない人でも絶対黒木華を好きになるマイリストとして、「幕が上がる」「甘いお酒でうがい」「デザイナー渋井直人の休日」があるけど、「せかいのおきく」も今日から入れちゃう。) 寛一郎も役にはまり過ぎてて、とても良かった◎ 池松壮亮も、これこれ〜!この池松君が見たかった、会いたかったんよ…!と言わんばかりの良さよ。矢亮というキャラクター、とても良かったね。割と三度の飯より親父ギャグに夢中さ♪な私のギャグ欲を満たしてくれる、もっと欲しさせてくれるぐらいこまめにギャグを差し込んでくれる矢亮は、今の会社で働く上で私が一番欲している人材かもとか思った。人事部なら即採用。好きだった。人ってどんなに辛くても、笑いに変えるユーモアがある人ほどどんな境遇でも実は一番幸せに暮らせるコツを掴んだ数少ない人なんではとまで思っちゃった。(言い過ぎか、平和ボケしてるだけだね私は。すみません)
話を戻して…。冒頭で3人がはち合わすシーンとか、場所が場所な癖に、一発で観客のハート鷲掴みだもんなあ。話が、1秒1秒と進む度に、この作品の虜になってく感覚になる。出てくる人達みんなを好きになっていくと同時に、映画がもっと好きになる。あとあと、魅力的なこのキャラクターや世界観、この感じ何かに似てると思ったけど、「この世界の片隅に」を観てる時の多幸感を思い出して…。観終わった後映画館の壁に貼ってあるポスターを見つけて写真をカシャカシャ撮ってたら、この世界の〜の著者のこうの史代さんの感想コメントと、こうのさんが描いた絵がポスターにあるの見てまた興奮した。こうのさんが描いたおきくの絵も、この映画を観たけどどう感想を伝えて良いか分からない私の心を代弁してくれたようにも感じたのだよ…こんな事ってあるんだね。(←「代弁してくれたように〜」ってところを、劇中の池松壮亮演じる矢亮じゃないけど今笑うところだぜと言いたい〜言いたい〜笑。)
映画を観てる時は悲しい・切ない・嬉しいの涙が何度か流れたけど、観終わった後、幸せな思い出し涙が流れて、そのタイミングでのこうのさんの絵が見れて、感無量過ぎた。阪本順治監督よ…グッジョブ人間過ぎますぜ。ありがとう。
劇場にいた人達と一言だけ会話して良いなら、今日という金曜日の勝者は私達だったんだ、って言いたかった。幸せ。

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まつこ

3.5幕末サスティナビリティ

2023年4月28日
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鑑賞方法:映画館

 モノクロ映像である理由は、うんこがたくさん映るから?そう勘繰りたくなるほど、うんこの描写がたくさんある。でも、しっかりカラーのうんこも出てくる。
 主要キャラの職業が汚穢(おわい)屋なのでそうなるのだが、何故わざわざそういう設定にしたかというと、本作が「YOIHI PROJECT」の映画作品第一弾だからだ。

 このプロジェクトの主旨は、「気鋭の日本映画製作チームと世界の自然科学研究者が協力して、様々な現代の『良い日』に生きる人間の物語を創り、『映画』で伝えていく」「地球環境を守るために考えたい課題を誰もが共感できる物語として描」くことだそうだ(「YOIHI PROJECT」ホームページより)。他にも、ドキュメンタリー映画や絵本などを世に送り出している。
 おきくの受難とかわいい恋物語は、こういったプロジェクトのテーマをエンタメに昇華するための溶媒のようなものなのだろう。
 ただ、設定上仕方ないもののちょっとうんこ描写が多すぎるので、人によっては嫌悪感が強いかもしれない。
 ちなみにあのうんこの材料は主にダンボールで、場面によってはお麩を入れたり、廃棄される予定だった食材を入れたりしたそうだ。

 鑑賞中はそんなことを知らず、おきくのドラマという単純な理解で観ていたが、それでも映像を追っていると確かに当時がその時代なりの循環型社会だったことがよくわかる。排泄物を、代金を払って回収し川で運び、肥料として売る。中次の最初の生業として、古紙回収の仕事も出てきた。
 しかし、循環させることは素晴らしいのだが、やはり当時の仕組みは大変だ。裕福な家はいざ知らず、長屋のような住まいのトイレは、ちょっと激しい雨が降ればたちまちあふれてしまう。汚穢屋が排泄物を運べば当然道すがら臭う。不衛生になることが多く、健康に悪い。現代に生きる人間としては、改めて水洗トイレの偉大さを思う、といった感じである。
 だが、当時の汚穢屋はいわゆるエッセンシャルワーカーだ。矢亮が言っていたように、人々の生活は彼らがいなければ成り立たない。欠かせない職なのに、実入りも社会的立場も恵まれない。そういった傾向は、現代にも残っている気がする。

 おきくの物語に目を移すと、受難の場面は非情だが、その場面以外は全体にほっこり感が漂う。声を失った後も、悲しみや重苦しさに支配され続けるわけではない。
 彼女の父親である源兵衛を佐藤浩市が、中次を実の息子の寛一郎が演じていることで、おきくは中次に父親の面影を見たのかもしれないというニュアンスも感じられる。あらためて、寛一郎は父親によく似ているな、と思った。
 黒木華は時代劇がよく似合う。くっきりと派手な美しさではなく、日本の美人画に描かれるようなシンプルで凛とした美しさが、モノクロの画面によく映えていた。

 ところで、最後に矢亮がしきりと「青春だなあ」と言っていたが、青春という単語が現代のような意味合いで使われ出したのは明治時代後期だと言われる。だから矢亮の言い方を聞いて少し不思議な気分になったのだが、脚本はあえてそうしたのではないかと勝手に想像している。
 中次と矢亮、おきくが体験した喜怒哀楽は、私たちが現代に生きて感じているものと変わらないのだということ。その共感の橋渡しとして、現代的な言い回しを一言入れたのではないかと解釈した。

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ニコ

3.5モノクロ映像の中に、ほんのり微かな色の見える素敵な物語。

2023年4月28日
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まるで短編小説のページをめくるような映画。

やはり黒木華さんの存在は大きい。
特に「秀逸だな」と思ったのは
戸口で好きな人の去る音を聞く表情と
好きな人の名を書き、ひとり悶えるところ。
おきくの心の内が分かる2つのカットは
さすがだな、と思った。

一方で「もの足りない」と感じたのは、おきくという人物を知る上で、何故あの人に惚れたのか、絶望から抜け出せた決定的な光は、などの答えは伝わらず…最後まで見えずじまい。あえてなのか?普段のおきくや、恋する娘としての姿は薄い。一方、同じ毎日を繰り返す若者二人のシーンは妙に長く、仕事や衣装以外の、言葉遣いや立ち姿は長屋の人々とほぼ同じに等しい。今の人に分かりやすい方法をとったのかもしれないが、人の内面から滲み出る卑屈さは見えなかった。身分違いの辛さ、想いの深さを感じられないまま迎えた「雪の場面」は非常に弱く、シーンとしては素敵だが心は動かなかった。

表現の問題か…勿体無い。
星は3.8のつもり
いい映画ではあった。

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星組

4.0素晴しきおきくの世界

2023年4月28日
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鑑賞方法:映画館

世界一清潔で快適といわれる日本のトイレにもああいう時代があったのだ。
白黒とはいえ汚物はリアルっぽいので潔癖性の人は食後の鑑賞をお勧めします。
あんな仕事でも誇りを持って頑張れは「おきく」のような美人で器量の良い娘に好かれるのだ。

あの和尚さん、地球は丸いって知ってたんだな。

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あらじん

2.5モノクロで正解

2023年4月28日
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カラーだとちょっとショボい映像になると思う。名カメラマンだから、白黒で撮っても綺麗なトーンだし。

演出は単調で、初めから最後まで内容が読めちゃう。

不慮のアクシデントで首を斬られて、声が出なくなった設定は秀逸で、黒木華も最高だった。

ただ最近流行りのSDGsは如何なテーマなのかとマイナス点

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ビビ

4.0万延元年を意識して「セカイ」を思え。

2023年4月28日
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章立てのラストカットがcolorとなる、古き懐かしきATGの低予算パートカラー作品の趣き。まあ、主人公らの仕事はカラーで見たくはないが。

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t2law

3.0なんでほとんど、白黒?

2023年4月28日
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鑑賞方法:映画館

カラーで観たかったです。

最後は何?
締まらなかったです。

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かん

4.5生き抜くエネルギーに満ち溢れた「せかい」

2023年4月26日
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鑑賞方法:試写会

世の道理を貫いた父、重傷を負っても新しい生き方を模索するおきく、仕事柄蔑まれながらも夢や前進をあきらめない汚穢屋コンビ、一癖も二癖もある長屋の面々など、愚痴りながらも厳しい暮らしを前向きに生き抜こうとする市井の人々の活力が眩しい作品だった。登場人物達の、ポジティブ過ぎない、少しずつ地道に前に進み続ける姿が非常に良かった。
おきくの成長を、強気で気位の高いツンツンの顔、負傷してふさぎ込む顔、新しい生活に馴染み大人になっていく顔、恋する乙女の顔…様々な表情を通して表現した黒木華さんの繊細な演技が光っていた。
だからこそ、いきなりおきくが恋をするところから始まるのが勿体ないとも感じた。きっと黒木さんならツンツン娘がじわじわときめいていく様子を表現してくれたのではないだろうか。

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うぐいす