「作画崩壊、シナリオ崩壊、運営の迷走だけが目立つ駄作」ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY とおりすがりのものさんの映画レビュー(感想・評価)
作画崩壊、シナリオ崩壊、運営の迷走だけが目立つ駄作
上映時間30分で1500円。いわゆる特別公演という形の映画でしたが、座席は70%位は埋まっていましたので、それなりに期待感をもって見に来ている人多い印象ではありました。
ですが、率直に言うと酷いですね。なぜこれで上映しようと思ったのでしょうか。
まず作画が酷い。これはわざとなのでしょうか。
当方はテレビアニメは見ていてシナリオやキャラの背景は完全に理解できているけれど、わざわざリアルライブに行く程のファンでもなくゲームもしておらず、声優はそれなりに詳しいつもりですが、だからといって中の声優に興味もなく、更にツイッターでラブライブの情報を追っているわけでもなく、ラブライブという歌と友情ドラマという設定が好きで見にいった人間ですが、その位の関わりの自分からすると、この酷い作画で映画化した事が驚きでした。
この作画でやりますって、どこかに告知がされていたのでしょうか。
だとしたらごめんなさい・・・ではありますが、アップの絵はTV版と比べて明らかに劣化している状態とはいえギリギリ我慢できるレベルではありますが、兎に角引きの絵が酷かった・・・。
油絵タッチの絵にしたかったのかもしれませんが、小学校が写生大会のようなキャラクターの絵で、棒人形が動いているみたいで…。ラフ絵でももうちょっとまともに書くと思うのですが、どうしてこれで上映しようとおもったのだろう。ひどいのレベルを超えていました。
30分のうち20分位が作画崩壊なので、全く感情移入できず。
次にシナリオ。これも本当に意味がわからないです。
アニメマクロスΔでワルキューレの活動が終わった事が理由なのか、歌って踊れる東山奈央さんがゲスト声優という事で、アイラが参加したライブシーンでもあるのかな?と思ったら一切無し。一応一緒に歌って踊っては描かれていますが歌は無し。パラパラアニメが流れておわり。
繰り返しですが、ラブライブって歌と友情の物語だよね??みたいな気持ちでしたし、東山奈央さんの人気にあやかって動員しなきゃならないほど、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会って落ち込んでいるの?と思ってしまいました。
まだまだ不満はあって、キャラの台詞の偏重度合いも酷いです。
今回はテレビシリーズ1話で鮮烈に描かれていた優木せつ菜(初代=中の人が楠木ともりさんの頃)が例のお台場の階段で歌っていたシーンをオマージュしていて、生徒会長となった栞子が真面目という殻をやぶり、この階段で優木せつ菜の背中を追って成長するみたいな所も描かれているのですが、それを描きたいためかやたらめったら栞子が喋りまくるために、周りのキャラの台詞が本当に少ないです。
その事が足かせになってしまい、アイラというゲスト声優のシナリオが全然生きていなくて、何故アイラを登場させたの?という感じしかしませんでした。一応軽くアイラのシナリオも描かれますが、30分に無理やり薄っぺらくつめこむくらいならアイラをわざわざ登場させなくてよかったのではないでしょうか。
こんな感じでただでさえ台詞の偏りが酷い状態なのに、残った貴重な会話機会の中心は嵐珠メイン。法元明菜さんに対して特に何の感情もありませんが、事務所がごりおしているのでしょうか。
嵐珠は後から入ってきたキャラで、人気や地位を上げたいためなのかもしれませんが、見ている側からするとそれはどうでもよくて、大事なのはシナリオなんですけどねえ。。
そもそもアイラは歩夢と関連性があるキャラクターの設定なのですが、日本では栞子と嵐珠メインで話が進むものだから、アイラとの親和性が薄っぺらく、最後に栞子がアイラのことを思って…みたいなシーンがあるのですが、そこがまるで盛り上がりませんでした。
誰かのためにまっすぐに頑張るシーンってラブライブシリーズで必ず1度は出てくる泣きのシーンですよね。なのに、白けた目で見ている自分がいて。
更に今回は、2代目優木せつ菜のお芝居も注目ポイントで、林鼓子さんが演じるお芝居がどんなものか?や、特に歌声もしっかり見せるべきだったと思うのですが、それも非常に薄い状態で(参考までにかくと、林鼓子さんの芝居は凄く良くて、違和感がなく初代に寄せていたので拍手拍手でした)散々でした。
最近はラブライブシリーズは迷走っぷりが酷くて、Aqoursの人気にすがってヨハネというファンタジー物を作ってみたり、Liella!は本筋のラブライブシリーズであり、本筋シリーズは9という数字にこだわりつづけてきたのに、それを無視してガンガン人を増やして数で勝負状態ですし、その嫌な流れを組んで今回の虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の体たらくです。
今回は30分で1500円だから許されるって話ではなく、2024年から劇場三部作として描かれる虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の映画につなげるための重要なステップだったはず。
アニメのシナリオだけでいえば、3年生組のエマ、果林、彼方、更には後から加わったミアはシナリオ上いずれ卒業させなければならないわけで、特に、果林と彼方は声優としても人気がある久保田未夢さんと鬼頭明里さんという事もあって、この2名がいずれ抜けていくとしたらリアルライブの動員どうしよう?と運営は何かに焦っているのかもしれませんが、そもそも虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会というコンテンツの寿命を考えれば、次の映画三部作でドカーンと大きな花火をあげて、初代ラブライブみたいな位置づけにもっていくべき作品で良いと思うのです。
その後に大々的なラストリアルライブをやれば十分採算もとれるでしょうし、相当の話題にもなるでしょう。小さな野球場位は埋まるのでは?
・・・とこれ以上いくらかいても不満しかないのでこのあたりでやめますが、今のところは劇場版もすべて見る予定にはしているものの、正直先が思いやられる内容でした。