劇場公開日 2023年1月20日

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「釜山港へ帰れ」野獣の血 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0釜山港へ帰れ

2023年2月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 日本人にもなじみ深いチョー・ヨンピルの「釜山港へ帰れ」。冒頭では終盤に起こるであろう船上での光景が描かれてはいるが、その後の序盤の展開はとにかく演歌、演歌、えーんか♪と、どことなく暗い雰囲気の音楽が流れてきた。中盤から後半にかけて、その雰囲気を大きく変えるほどの美しい音楽。ヒスの心情を表わしたのか、義理と人情、そして同じ養護施設出身で敵側のチョルジンへの思いが吹っ切れたような爽やかさまで感じられた。

 韓国ノワールと一言で表現するより、日本文化までもが浸透したかのようなクアムの港町。「日本統治時代が・・・」などという台詞も多かった。それにしても、序盤のわかりづらさ。大手のヨンド派が仕掛けてくる罠がどういった意図を持っていたのか、誰がヨンド派の手下なのかも把握出来ず、中盤からようやく全体像がつかめたといった感じでした。それよりもヨンド派が進出してくるほど魅力あったのか?

 バイオレンスアクションだとか、韓国映画の特徴を活かしてはいるものの、どうも緊迫感が足りない。まぁ、ヤクザを辞めたがっているヒスが主人公なだけに、戦争を始めたが、なぜかパッとしない展開。ヒスとチョルジンの友情なども物足りなかった。そんな中、異彩を放つのがヨンガン(チェ・ムソン)だ。不気味な顔を持つ彼だけが物語の中でも際立っていた。「猟犬vs.狂犬」という構図もいい。

 10数年前に金沢-釜山の国際フェリーが就航したおかげで何となく身近に感じられた釜山だったけど、旅客が少なすぎてすぐに廃止・・・行っておけばよかったなぁ。

kossy