劇場公開日 2022年11月5日

「時代に翻弄されながらも、強く生きた母と娘の物語」Yokosuka 1953 Figdogさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0時代に翻弄されながらも、強く生きた母と娘の物語

2022年11月20日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

「私は女性としてここまで強く生きられただろうか?私だったら自ら死を選んでしまうかもしれない・・・」
そんな思いが何度も何度もよぎって仕方がなかった。

あの頃はそんな時代だったんだと、ひと言で済ませていいんだろうか?場所は違えど戦後生まれの親世代とそんなに変わらないことがショックで、より一層リアルに感じて仕方がなかった物語序盤。

「これで最後のさよならができる」
次々と事実が詳らかになっていく中で、移動中にポツリと言ったバーバラさんのひと言。すべてを受け入れ、それを超えた方にしか言えない重みのある言葉をサラッと口にされていたことに、私は完全に圧倒されてしまった。

バーバラさんは、よくある悲劇のヒロインのように大げさに語ることは一切微塵もなく、全編を通していつも冷静に淡々と話されていました。これまで抱えきれないほどの苦難の連続、想像を超える人生の辛さや重さがあるはずなのに・・・。そんな中お話されながら静かに流されていた涙に、柳のようにしなやかで折れない強さってこういうことかと、同じ女性として胸に迫りました。

物語の最後の最後に信じられないような奇跡が起こります。全ては「信じる」ということが積み重なったからこそ、ミラクルが起きたんだろうなと。鑑賞後思わず自分に問いたくなりました。
「何の確証もないのに信じて前へ進めること、私はできる?」

「女性が女性らしく生きられなかった時代」を生きた母娘と、66年の時を経てそこに光を当てられた木川監督。
多数の悲しい歴史の事実の中、丁寧な調査から垣間見られた母や周囲の人々の当時の優しい思いやりの数々に、私まで気持ちが救われたようで目頭が熱くなりっぱなし。
どんな中でも生きる強さ、そして信じることのとてつもない力に心揺さぶられた映画でした。
事実は小説よりも奇なり。
劇場でぜひ。

figdog
iwaozさんのコメント
2023年2月4日

洋子さんの「私は強いから…」「正しい選択をして生きてきました」という言葉に本当にその通りなんだろうなと思い、深い尊敬の念にうたれました。新聞記事にあった200人ほどの混血の方たちの内、その正しい選択をして生き抜けた人はどれだけ居たのでしょうか。(T . T)
おそらく手の指で数えるほどの方しか居ないような気がします。
お酒や薬物にハマったり、精神を病んで自死を選んだり、等々。
この世はハードロード。( ; ; )

iwaoz
カールⅢ世さんのコメント
2022年11月21日

「これで最後のさよならができる」
同感です。なんも言えないです。

カールⅢ世