理想郷のレビュー・感想・評価
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田舎に法律は適用されない…
辺鄙な山々に囲まれた田舎を第二の故郷として移住してきたフランス人夫婦の話 田舎には田舎の独特の風習やルールが有り、それが守られなければ村八分に…😢
この作品の中では、フランスからの移住者が風力発電建設に反対したが為に、隣人(牛飼いで、母親と未婚の息子二人)に移住者の男が殺され、行方不明に… 配偶者は健気にも広い山々を一人で検索する そして…
住めば都とは言えない物語
ブエナス・タルデス
夢を持って郷に入ってみたものの郷に従い損ねた夫婦と閉鎖社会で視野狭窄した住人との不和を描いたサイコスリラー風味の悲劇。
相手が都会から来たインテリだというだけでそもそも話を聞こうともしない住人達を納得させるのは結局お金だという身も蓋もない現実を突きつける。
じわじわ締め付けてくる陰湿さの描写とラストの復讐劇は背筋が寒くなるが、ちょっと長めなのを耐えて観る価値あり。
ママは「シャーク・ド・フランス」のマジャですな。
よそもんが来るなよ!事情を知らないのに!
異邦人排斥がテーマだった。スペインの寒村に移住したフランス人インテリ夫妻。オーガニックな農業をささやかに営み、古民家を改造して自然派リゾートにしようと夢を見ている。そのため、景観・自然を破壊する風力発電計画に反対している。ところが、貧しい村人たりは、保証金目当てで発電に賛成。異邦人のフランス人夫婦を面白く思っていない。そして必然として悲劇が。コミュニティへ加わった、地域の事情を無視したエイリアンへの排斥が主題だった。どちらが正しいかは委ねられている。しかし、僕はフランス夫婦は間違っていると思う。
移住者の夫婦に共感することも同調することもできない
フランスからスペインの田舎の村に越してきた夫婦は、物語の冒頭から村人と対立していて、その村が、邦題となっている「理想郷」のように感じられる場面はほとんどなかった。夫婦が、あの村に、どうしてそれほど愛着を持ち、住み続けたいとこだわるのかが、今一つ理解できないのである。
野菜を作りながら慎ましく生活し、古民家を改装して都会からの観光客を呼び込みたいという夫婦の思惑は分からないでもない。それでも、突然やって来たよそ者が反対したせいで、風力発電の補助金が貰えなくなることに対する村人の憤りは至極もっともで、ここは、夫婦の側が、多数を占める村人の意見に従うか、村を出て行くしかなかったのではないか?
それを、あくまでも自らの主張を押し通して、あえて村人とことを荒立てようとする夫婦の姿勢には、共感することも同調することができなかった。
案の定、対立はエスカレートして、取り返しのつかない事態に至るのだが、観客は真相を知っているのに、それが劇中でなかなか明白にならない展開に、徐々にイライラがつのっていく。
ここで、母親をフランスに連れ戻そうとする娘と、あくまでも村に残ろうとする母親との間で新たな対立が生まれるのだが、どう考えても、母親を気遣う娘の主張の方が100%正しいと思えてしまう。
母親は、失踪した夫を愛しているからというよりも、夫のことを殺したに違いない隣人に対して意地を張っているとしか思えないのである。
犯罪の証拠となるビデオカメラが発見されて、ようやく事件が決着するのかと思っていると、そうとはならない展開にもうんざりする。まあ、その直後に、別の形で結末を迎えるからまだ良いのだが、それにしてもモタモタし過ぎているのではないか?
結局、夫婦と対立していたのは隣りに住んでいる兄弟だけで、これといって、田舎の村型社会に特有の閉鎖性や排他性を糾弾している訳ではないし、かといって、エコでスローな暮らしへの漠然とした憧れだけで田舎に移住する都会人の思慮の浅さや軽率さを批判している訳でもない。
いったい何が言いたかったのかが分からないまま、理解し合おうとしない人間の姿にフラストレーションが溜まった映画だった。
無法地帯。
スペインの小さな村へ移住したフランス人夫婦の話。
風力発電計画絡み(お金)で意見が対立する先住民とフランス人夫婦アントワーヌ(夫)とオルガ(妻)のストーリー。
新参者はとりあえず先住民の言う事聞いとけ!くらいの雰囲気とその小さな村を仕切るちょっとヤバメな兄弟…とりあえず弟役の彼の初見の感想は厳つさなし!カッコよくないジェイソン・ステイサムって感じに見えた(笑)
個人的ワガママ書くならもうちょっとスリリングさと、もうちょっと先住民の嫌がらせが甘かったから個人的にはもっと強めの嫌がらせが欲しかった。
ラストの旦那見つかった!からの後の描写が見たかったんだけど終わりかい!(笑)
ちょっと物足りなさを感じたものの面白かった!
ジワジワ型のサスペンスかと思いきや、後味悪めの人間ドラマ
スローライフを目指してスペインの寒村に移住してきたフランス人夫婦が、極貧の村人たちからのけ者にされ、ジワジワと脅迫される中段までが夫の視点。後半の妻視点では、夫婦愛。見ごたえはある。
緊張感のある展開に惹きつけられるものの、やや長く感じられ、後味もあまり良くない。
田舎暮らしの愚かしさの詰まった作品
のんびりと田舎暮し、子供をのびのび育てよう。そんなキャッチフレーズに、だまされてませんか。あこがれと現実は、当たり前ですが違います。戦後民主主義は、人間皆平等だと説きます、まずそこを疑ってみましょう、そうでないとこの映画のような悲劇が。
のんびりと田舎暮らしの落とし穴
テレビでは、相変わらずこの手の番組が多いですよね。
はて、田舎暮らしがそんなにいいものか不思議です。
都市部への人口の集中により過疎化の進む、農村部。
自治体もやっきになって、移住者を募集したり。
しかし、いざ移住となると、その後のあらゆる諸問題に、自治体のバックアップは、期待できません。
そう、自分たちで解決しないと。
そこなんですが、あくまでも移住者は、よそ者です。
そして、移住した地方は、農村部であれば、まちがいなく閉鎖的です。
さあ、そこで、どんな苦労が待っているでしょう。
そうまでして、田舎暮らしがしたい。
そんな実例をこの作品は、実話に基づいて、教えてくれます。
フランスで、教師を退職した初老の夫婦。
第二の人生を、若い時訪れ忘れられぬスペインの片田舎で、有機農法による野菜栽培を始めます。
ここで、この夫婦というより教師をしていたご主人が、田舎暮らしではやってはいけないことを次から次から繰り出してきます。
見ている方が、ハラハラしてくるのですが、彼の言うことと行動は、全て正論なのですが、彼自身よそ者であることが、わかっていない。
さてそれは、どんな点でしょうか。
村民と、打ち解け合おうとすること。
映画では、酒場の場面がよく出てきます。
そこで、必ずフランス人の教師は、嫌われ役に。
当然でしょう、フランス人教師とスペインの田舎者で、打ち解け合うはずがない。
田舎者にとっては、都会風のインテリは、最も嫌いな人種。
だって、自分たちの無学さを嫌というほど感じてしまうから。
この場合、フランス人元教師が、スペインの田舎者レベルまで自分を下げなければいけない。
しかし、世間知らずの教師にそんな芸当が、できるはずもなく。
普通の人でも、相当な演技力が要求されるのに。
おまけにお酒がはいってしまっては、無理でしょう。
まず、1つ目に言えることは。
あまりレベルの違う人とは、距離を置くこと。
ただ、職場などで、どうしても交わらないとならない時は、彼らを刺激しない演技力が求められるということ。
風力発電誘致に反対してしまったこと。
村に持ち上がった、風力発電誘致の話。
賛成派は、貧しい村で、これといった収入がない中で、ある程度まとまった保証金がもらえること。
反対派は、風力発電は、外国企業の発電施設売り込みの目的で、環境破壊につながること。
ここで、例のフランス人元教師は、反対派となります。
それも、旗振り役として、賛成派住民を説得して、反対の議決を通してしまいます。
これも、フランス人元教師が、嫌われる原因となります。
そう、何代もこの地に住み続ける人たちの問題なのに。
都会から来たよそ者が、その意を汲み取らず、正論で押し通そうとする愚。
まあ、この映画は実話に基づくらしいですから、なおさらそう思います。
あくまでも、主導権は、その地に長く住んでいた人なのに。
当然、貧しい農民から恨まれます。
人間、皆平等の愚かな考え。
特に、戦後日本では、この考えが当たり前のように、言われてますが。
何か、勘違いしてませんか。
そう、ひとそれぞれに権利は、あくまでも平等に与えられなければならないという事で。
人間が、皆平等であるはずがないのです。
生まれた環境や、所属する階層もバラバラで、何が平等なんでしょう。
そこを取り間違えると、この映画のような悲劇が生まれるのです。
このフランス人元教師は、対立する村民と打ち解け合い、話し合い理解し合おうとします。
いや、無理でしょ、これだけレベルの違う人間が。
それがわからない、元教師の悲劇。
そう、レベルの違う人間は、ある程度棲み分けが必要なんです。
みな、それらを感じ取って、お互い刺激し合わない距離感で生活しているのに。
この元教師のように場違いところで、自らを主張する愚かしさ。
逆に、村民の立場になると迷惑この上ないと。
さあ、皆さんそれでも田舎暮らしがしたいですか。
憧れの田舎ぐらしが、悲劇にならないようにこの映画から勉強しましょう。
相手を知ってから自分を知ってもらうコミュニケーション
人と人のコミュニケーション、特に異国籍の方とのコミュニケーション方法を書かれています。他国では受け身となってしまいますので、まず相手を知ることが大切だと再認識されました。
あらすじ
フランスからスペインの自然豊かな村に移住した夫婦アントワーヌとオルガ。生まれたときから中年の現在までこの村過ごしているシャンとロレンソの兄弟はアントワーヌ夫婦と対立をしていた。対立の原因は村に風力発電を作る計画だった。自然を守りたいアントワーヌと支援金がほしいシャンとロレンソ兄弟。風力発電に反対しているアントワーヌに不愉快なことが起きていく話です。前半は旅で見つけた地で自分の理想ばかりを追求するアントワーヌ視点。後半は夫を応援し続けた妻オルガ視点で描かれます。
いまいちなところ
村の風力発電プロジェクトはどうなったのか?
SDカードで他のアクションもできたのでは?
アントワーヌ夫婦の過去も欲しかった
考察
原題のThe Beastsがわかりやすいですが、決して移住した主人公が可哀想な映画ではありません。主人公の行動次第で防げた悲惨な出来事です。
結末は明白されず、自由に考えさせる映画でした。尺の長さ的に結果がほしかった。
学び
相互理解が足りないです。前半はアントワーヌの移住したことに満足し、この自然と村に感謝し守るという理想と村にうんざりし、どうにか違う生活をしてみたいシャン兄弟がお互いの希望だけをぶつけ合い、結果対立となった。一歩ずつ譲ってお互いの気持ちを理解することで他の解決方法があったのではないか。もちろん異文化を理解したうえで。青空マーケットでトマトを予約したおばあちゃんのように。
後半でわかりやすいですが、対立していた母と娘ですが、娘が一歩譲ったことにより見送りが感動でした。
どの場所にもいい人もいれば悪い人もいる。避けるだけでは解決できないこともあり、他の街に引っ越しても結局悪い人はきっといる。どのように付き合うかが大切ですね。
カメラに残っていたものは…
試写会にて。
冒頭の馬のシーンが中盤あんな形で繋がるとは…
終始不穏な空気が漂い、心を削られるようでこれを2時間以上見るの辛そうだなと思っていたら、まさかの二部構成のような展開に!
良い意味で裏切られて涙した。
そしてラストカットに鳥肌。
独特な世界観。
地元民と移住者の争いごとメインなお話と思って行ったらちょっと微妙な展開。移住して理想郷を求めるダンナさんメインな前半、後半は奥さん中心の展開。夫婦とは、親子とは、なんぞやな展開もあり、音楽も一切なく嫌悪感さえ覚える地元民と移住者の静かな争いはまるでホラー。奥様が地元の母様に向ける最後の一言もカウンターパンチが効いていて見応えあり。役立たずな番犬といい独特な世界観だったなー。
まさかあれで終わるとは・・・
しっかりと結んで終わってくださいとは言いません。消化不良で突然終わってしまう作品なんてたくさんあることでしょう。にして、あれで終わってしまうのかという気持ちが正直なところ。確かに、あそこから何かしら結末をつけようとすると、結構難しいのかもしれませんが、あそこから見ている方に投げられても・・・と思ってしまいました。
取り扱われてる内容は、確かにムズい。互いの主張に頷くところもあれば、拒絶したくなるところも同様に両者にあるように、そう感じるように作られていた気がしました。まぁ途中からは違いましたが─。自分にとってはある時点からはもはやなんの対立軸もなくなってしまって、ちょっとした事件推理ものになっていたのですが、それなりに張り詰めた気持ちでは観賞できた反面、多少、何だよ・・・と思ってしまうところもありました。
この邦題も、結局は大いなる皮肉にしか思えないのが残念なところ。
生粋の江戸っ子
表題ならば優越感に浸ることができるのだろうが、田舎に於いては逆に劣等感、取り残され感、勿論生活の困窮、何よりも閉塞感とルーチンワーク そんな毎日の死んでいるような生活に突然として金がもたらされる運が巡ってきたとしたら・・・
スコセッシ監督『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』でも序章は同じだが、今作はあそこまでの潤沢な金は舞い降りない そんなさもしい話だが相手も待ってくれずボヤボヤしていると余所の村にチャンスが逃げて行ってしまう
そんな将来性も何も後先考えず金をせしめたい兄弟の家の隣に住んでいるフランスからの移住者とのご近所トラブルが取り返しのつかないところまで発展してしまった実話を元にした作品である
ジャンルとしては、ミステリーホラーになるであろう 章立てではないが前半と後半とに分れる構成になっている
アヴァンのシーンは馬1頭に3人の男が飛びかかり絞めるところから芝居は始まる 比較的ゆっくりとしたしかし荒々しい対決シーンからスクリーンに釘付けにさせるスペインガリシアにて開催される"ラパ ダス ベスタス"はこの後、後半に繋ぐ事件への伏線へと繋がる インタータイトルを全ては留められなかったが後半の「印を付けて再び野に放つ」というところがキモであり、今作品の用意周到さを伺わせるアイデアである
風力発電設置の是非を問う村民投票でNOを投じた移住者夫婦は、他の村民、とりわけ隣人の兄弟からイジメを受けている 初めは嫌がらせレベルだったが、生活を脅かされる器物損壊(井戸にバッテリーを投入され、自家製有機野菜を鉛汚染に晒される)を受けてからのギア変換は凄まじい 唯一のレクリエーションである小さな飲み屋でもそのドメスティックな環境(住環境が狭小故、不可避)に益々イライラを募らすのだが、警察に被害届を出してもなにも解決せず、その闘いは激化の一途を辿る
と、こんな詳細な粗筋を書き連ねると文字数が足りなくなるので端折るが、要は目の前の金を濡れ手に粟と知りつつしかし閉塞感から逃れたい兄弟と、逆に若い時分に旅行できたこの地の自然の雄大さに感激した主人公夫の、観光産業としての田舎ビジネスを村民に導いてあげたいとの想いとの、決して交わらない意地のぶつかり合いが産んだ悲劇をドラマは届ける 結局降参した夫婦は土地をでていくことを約束するがそれには移住資金が必要でその為には1,2年間は農業を続けさせて欲しいと申し出る しかし引っ込みがつかない兄弟は、ここでアヴァンの伏線回収で同じように巨漢の夫を絞め殺してしまう しかし、常に嫌がらせをVカメラで撮影していた夫はすんででカメラを木の幹に置きその一部始終を撮影する事に成功していた 此処で前半は終わり、後半はその妻の闘いがリスタートされる
夫の行方不明に対する、ある種敵討ち的な姿勢でそのまま村に残り、自身も捜索の幅を狭めて行く その中で夫がどれだけこの地と、そこで生まれた希少な友人とに幸福を得ていたのかを、あのVカメラで撮影されたささやかな誕生日会に於いて同じ柄のベストを着た姿に見出されるのである
それまでは兄弟に対する嫌がらせに対して夫に屈服を促した妻だが、娘の強烈且つ辛辣な引き揚げの説得もまるで耳に入らない 逆に放蕩だった若い頃の娘に対して何も説教をしなかった自分なのだから、今度は娘にそれを強いる反論である
その燃える信念、執念は雪解けの森に奇跡をもたらす Vカメラが見付かり、さすがにもう経年劣化に依り、記録媒体が復元不可能となっていたのだが、そこにVカメラが落ちていたという物的証拠が功を奏し、夫の遺体が発見される そこからの逆転劇を予感させる中で、兄弟にトドメを刺しに隣へ訪れる 相手は兄弟ではなくその母親だ 「息子達は近く収監される そうなったらあんたも1人きりになる 困ったことがあったら相談に来い」の捨て台詞を吐き、車中でのニヒルな笑顔で切れの良い作劇はクライマックスのラストを迎える
娘に対しての身体と人生を張った教えが見事で感動しきりである 今迄本物の恋愛をして来ず、単にその時の欲と損得だけで、子供迄設けてしまったシングルマザーの娘に、「いつかあなたも愛をみつけて」と諭すシークエンスは敬服する作劇である 勿論、入口は一寸前にネットニュース等で話題になった北海道に移住したyoutuberの若い女性に対するやっかみに満ちた嫌がらせと、実は女性側も村民を利用しようとした節との、どっちもどっちな話に始終してしまうレベル次元になるところを、真相を探ろうとする復讐劇に転換させたストーリーテリングの妙を強く感じた力作であった
敵に懐く飼い犬や、所々不気味な通奏低音のBGM、偶々前回観賞した"ドミノ"を酒場で催していた偶然のタイミング等々、未だ未だ解釈が試されるシーンや、連続してみる観賞での出会いがこうしてもたらされる可笑しみをヒシヒシ感じさせる時間を過ごした
え⁉️ここで終わる❓
面白かったが長く感じたなー。旦那さんが消えてから、カメラ早く見つけて!って何度願ったか。やっとあの家族をとっちめてやれる思ったら、、、
最後全くスッキリしないなー
消化不良だよ。
シネマート満席違い大入りでした。
パンフレットも売れてました。
この映画はそんなに人気?話題?有名なんですね。
ビックリでした。
理解どころか歩み寄ることさえ拒否する絶望に言葉を失う。素晴らしい作品ですが、見終わった後もしばらく胸くそが悪いまま。
貧困と過疎化と高齢化が進み打開策もない村。この村で生まれ、育ち、生活する村人の中には、出て行くこともままならない者もいる。
自然環境を破壊し景観が損なわれても豊かさを求めることに何のためらいもない。
いったい誰がこの者たちを非難できよう。
一方、自然や人との繋がり、スローライフを求めて都会から田舎へ移住する者がいる。今までの暮らし、仕事、人間関係、便利さ、築いてきたものの多くを捨て、一生住む覚悟で移住してきた。
自然の美しさと景観に魅了されて移り住んだ者にとって、それらが失われてしまったら移住してきた理由がなくなってしまう。
決して理解し歩み寄れない対立と分断が憎しみへと変わる。
この映画が別に夢や希望、解決策を描いた作品でないことは分かっているのだが、僕には余りに妥協点の見いだせない問いと結末で、心が暗たんたる気持ちになって気分が塞いでしまう。
日本でも都会から田舎へ移住した人は、自分の体験としてより深く理解できる部分があると思う。また、田舎へ移住しようと考えてた人は、思わず考え直そうと思ってしまうかもしれない。
最近では「福田村」 「月」 「キリング・オブ・ケ ネス・チェンバレン」 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」 に連なる作品だ。
いずれも現在ある問題を僕に突きつけてくる。
「理想郷」の初日は2023/11/3(金)で、ゴジラ映画の新作 「ゴジラ ―1」と同じ日だ。
僕はもし生涯あと1本しか映画が見れないとしたら、恐らくゴジラ映画を選ぶだろうというぐらいゴジラ映画が好きだ。だから「ゴジラ ―1」は初日の朝1で見ようとずっと前から心待ちにしてた。
だけど最近この 「理想郷」 のことを知って、こっちの方を先に朝 1で見に行かねばと思って見に行った。
ところが観賞後、余りにも重い作品だったので、今日のところは考えるのをやめて、いったん逃げることにした。逃げるのは好きで得意だ。
そこで、これを見たあと、「私がやりました」 (コメディ映画) と、「ゴジラ − 1」 (ゴジラ映画) を見て上書きした。
移住者虐め!
リタイア後の人生、自然豊かな土地でエコな作物を作り、
自然と共生を夢見る第二の人生なんて、都会のサラリーマンが憧れる余生の過ごし方。
しかし、
金にこだわる地元民と、自然との共生を大切にしたいと考える移住者。
それぞれの思惑は分からなくもない…
日本でも、<限界集落の移住者虐め>の話は聞いたことがあります。
そして、だいたい同じような構図。
それだけに他人事じゃない恐怖。
実話ベースなだけに、移住は隣人ガチャに外れると大変!と改めて震え上がりました。
見知らぬ土地にはお試し期間が絶対必要ですね。
そして、
受け入れられていないと察した時点で退く勇気は必要ですね…
夫の失踪で殺されたと感じ、探し続ける妻の姿が印象的。
夫婦の愛の深さも、じんときた。
それぞれの考え方のすれ違いが高じた悲劇の物語でした。
人間関係の複雑さ
田舎暮らしを求めてやってきた夫婦と、その地に生まれ住み続けてきた隣人の諍いから始まる物語。
一人一人思考が違えば感情も違うし、何を愛し・憎み・求めるのかも違う。
誰もが自分の信念のまま生きるエゴだらけの世界で、唯一無二の夫婦の愛がとても美しく映る。
差別と言い争いの激しさの中で描かれる、細やかな感情と仕草がとても好き。
途中までは「田舎暮らしって怖い!」と思っていたし、ずっと心がざわざわしていたけど、スリラー要素とは違う物語の別のテーマに気づいた時にグッと好きになったし、物語の見方・描かれ方がガラっと変わるのもよい。
サスペンスだと思って観ていた所からの、癒しや救い、愛。そこは前作の『おもかげ』と共通していてとてもおもしろい。
季節の流れ、時間の移り変わり、場面転換が秀逸。
印象的な場面はいくつかあるけど、隣人兄弟と夫アントワーヌが酒場で、各々の気持ちを吐露するシーンが記憶に残る。
それまで兄弟の執拗な虐めが悪だと感じていたけど、あそこだけ一瞬、アントワーヌがこの村を脅かす侵略者の様にも見えた。
『わらの犬』みたいな話かと思ったら全く違う展開を見せる、いかにもスペイン的な陰影の深い後味の悪さが印象的
ガリシア地方の山間にある小さな村に移住して農業を始めたフランス人夫婦。村人から何かと揶揄われながらも慎ましく暮らしていたが、電力会社から持ち込まれた風力発電所建設の利権に夫婦が毅然と反対したことから隣家に住む兄弟との関係が悪化し、やがて陰湿な嫌がらせが始まる。
村八分をテーマに据えた映画は沢山ありますがこれもそれ。陰惨なド田舎あるあるを散々見せつけられてげんなりするわけですがそんなありきたりな物語は冒頭で映し出された静かな映像が何を暗示していたのかを示して突然ポッキリと折れます。『L.A.大捜査線 狼たちの街』の終盤のような置いてけぼり感に呆然としている間も淡々とドラマは続きますがそれも突然急展開して終幕。イヤな余韻だけが延々と残るとってもスペイン的な陰影の深い後味の悪さが印象的な作品でした。
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