劇場公開日 2024年2月17日

「意外とお似合いの「ミカと翔太」。」フィリピンパブ嬢の社会学 ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0意外とお似合いの「ミカと翔太」。

2023年11月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

地元が舞台のご当地映画であったので、半ば冷やかし気分で見に行った。地元のPRにもなっているし、内容もなかなか良かった。
翔太とミカの波乱にとんだ恋愛が面白い。フィリピンパブを大学院の研究論文テーマにしたことで、思いもかけない展開になっていく。まさかフィリピンパブ嬢と結婚することになるとは、思いもしなかっただろう。人生は不思議な縁でつながっているのを実感する。お金がないのに研究のためにはパブに通わなければならない。ミカの積極的な営業に早々に後悔し始める様子がおかしい。しかしながら、パブ嬢の過酷な労働環境や、ヤクザが裏にいるという危ない経営を知りながら、どんどん深みにはまっていくように見える。警察にも実態を聞きに行ったりするが、周りからは相当危なっかしく見えたことだろう。しかし研究対象と割り切っているからか、翔太に動揺する所はない。貧乏学生なのに、何かと偏見の目で見られがちなフィリピンパブを研究テーマにするくらいだから、柔軟な発想と何事も広く受け入れる度量があるようだ。前田航基はそんな動じない(?)男を堂々と演じている。
フィリピン人の魅力は、その南国的な明るさであり前向きで逞しい生き方にあるのかもしれない。それがフィリピンパブの楽しさにつながりミカの魅力になっている。ミカ役の一宮レイゼルは可愛らしいだけではなく、逞しさもしっかり演じていた。とても魅力的な女優さんである。積極的なミカに押されて流されているようにも見える翔太だが、結婚を決めてからはしっかり地に足をつけた。研究がなかったら出会うはずのなかった二人だが、こうなると運命的なものも感じてしまう。
好感の持てるミカと翔太が家族になり、日本とフィリピンの文化の違いを超えた交流がありとても気持ちの良い作品になった。

ガバチョ