「常守さん最高」劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0常守さん最高

2023年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

主人公の常森はすごいキャラクターだ。シビュラによる全体支配的な体制を憎みつつも、必要性を否定しない。でも、全てをAIに明け渡そうとも思わない。ペシミスティックにならず、ニヒリズムに陥ることもなく、どこまでも彼女はリアリズムに物事を考えられる人物として描かれている。近年のアニメーションのキャラクターの中で突出して魅力的だ。
今作では、AI時代に人が作った法律は必要かが問われる。今作の悪役的な位置づけのキャラクターはAIを神のようにあがめている。対して、常森は、AIに全てを委ねるつもりはない、AIがある現実を受け入れた上で、それでも人の意思を捨てずに社会を運営していくべきとの考えにのっとり行動し続ける。そして、人の作った法を守るための究極の選択をする。
常森のように強固は意志を持って生きることができるか、AI時代を生きる人はそれを問われることになるのだと思う。2023年にこの映画が公開されたのはとても良いタイミングだったと思う。

杉本穂高