劇場公開日 2023年4月14日

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「どうか柔らかい感性をそのままに」ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい penさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5どうか柔らかい感性をそのままに

2023年5月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

青春時代は、疾風怒濤です。自我が目ざめ、性が目覚め、さまざま感情がこころに湧き出ててきます。でも若いが故少し間違えると、ぐるぐるとさまざま感情が手のつけられない形で循環し、肥大化した自己意識は肥大化したまま終わることはありません。

私の場合も、ぬいぐるみに話しかけることはありませんでしたし、悩みは同じものではありませんでしたが、その絶望感にはどこか既視感があり、懐かしい感じがありました。多くの人もこの作品の主人公ほどではないにしろ、似たようなグルグル感は多かれ少なかれご経験があるのではないでしょうか。

でも、当時から40年以上たって、この作品の主人公たち(そして過去の自分自身に)感じたのは、やはり「狭くて息苦しいかも」です。「一度ぬいぐるみから離れて、外の空気を吸った方がよい気がするよ。日本だけじゃなくてさ。そしたらなんだこんなことでグルグルしてたのかと気がつくときが来るかもよ」そう言ってあげたい気がしました。

日本はまだまだこれからだと思いますが、世の中(少なくとも民主主義国家陣営)はダイバーシテイ&インクルージョンです。その正直な感性をそのまま持ち続られるかもしれない。そそして「~でなければならない」を相対化し、「そういう考え方もありますね」とやりすごすことができるようになるかもしれない。その意味でだけかもしれませんが、未来はあなたたちにとっても明るいかもです。どうか柔らかい感性をそのまま大切に。

娘と同い年の監督さんの作品なので、何か年寄りの戯言みたいになってしまいました。失礼^_^。

pen