劇場公開日 2022年11月18日

「"Redneck Shop"」バーデン 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5"Redneck Shop"

2022年11月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

マイク・バーデンを演じる主演のギャレット・ヘドランドは『オン・ザ・ロード』以来の良い役柄と個人的にトム・ハーディみたいで『マッドバウンド 哀しき友情』では本作と近いような題材で正反対の役を演じていた、ヒロインは今年観た『ポゼッサー』の女優さんで『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』ではニコラス・ケイジの奥さん役かと、安定のフォレスト・ウィテカーが禿げ頭で不自然かと思いきやメインキャストが実在の人物に寄せた感の強い役柄で際立っているのがエンディングロールで理解出来る。

鑑賞前から『SKIN/スキン』と似た内容かと二作とも実話であり救われる術が女性との出会いから芽生える愛情で自分の価値観が覆され、義理人情からの宗教的洗脳があるようで考える意志や強い信念ですら希薄に思えてしまう、単に流されるがまま生きてきた日常が危険過ぎた。

幼馴染との再会や子供との釣りにしても怪訝な態度を取るより本来の優しさが、ライフルで狙ったり黒人を殴る場面ですら無理をしている表情にも、一番の幸せを手にしながら全てを失ったかのように頭が悪いと自分を卑下するマイク、生まれ育った環境下での教育によって様々な価値観の人間が共存する為に争う善悪が儘ならない現状、救いの手を差し伸べる神父の心情から人間として白も黒もない、何かしらの差別が蔓延る社会がありながらも戦い続けた黒人の歴史と何を守るための白人至上主義か、クー・クラックス・クランという集団の歴史を遡るのが恐ろしい。

万年 東一