劇場公開日 2022年10月14日

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「「繰り返し作業の多い職場」×タイムループ、意外になかった掛け合わせが奏功」MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「繰り返し作業の多い職場」×タイムループ、意外になかった掛け合わせが奏功

2022年10月18日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

劇中の台詞でもタイトルが紹介されるように、「恋はデジャブ」「オール・ユー・ニード・イズ・キル」、あるいは「ハッピー・デス・デイ」「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」「アバウト・タイム 愛おしい時間について」など、タイムループを扱った映画は多々あれど、もともと繰り返し作業の多いオフィスを舞台に、会社員たちがタイムループの状況に陥るというアイデアは、ありそうでなかったように思う(少なくともメジャーな作品では。マイナー作でもご存じの方がいたら教えてほしい)。

大手からの下請け仕事が多そうな小さい広告代理店の制作部というチョイスも、繰り返しになりがちな事務仕事と、クリエイティブな作業が混在する職場という点で秀逸だ。マキタスポーツが演じる永久部長の現実(=中間管理職)と諦めていた夢(漫画家としてデビューすること)に分かりやすくリンクしているし、現実にも、本当に好きなことを趣味にとどめたり、なりたかった職業をあきらめたりして、仕事は生活費を稼ぐためと割り切って日々生きている人は多いはず。主人公の吉川朱海(円井わん)が、元請けの大手代理店からの駄目出しにより何度もやり直しを強いられる理不尽さ、週末まで泊まり込みを余儀なくされるブラックな労働環境も、ループから抜けられない悲哀に拍車をかけている。

9割方がオフィス一部屋で進行するほぼワンシチュエーションで、低予算は明らかだが、竹林亮監督と夏生さえりによる共同脚本がよく練られていて、チープさは感じられないし、最後まで飽きずに楽しく鑑賞できる。キャストはやや地味目かもしれないが、なかなかの掘り出し物、おすすめです。

高森 郁哉