劇場公開日 2022年9月30日

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「船頭多くして船山に登る」1950 鋼の第7中隊 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0船頭多くして船山に登る

2022年10月1日
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そうそうたる監督の顔ぶれに、どんな感動巨編なのかと期待したが、やはり、単なる戦意高揚映画だった。
そもそも、登場人物たちのキャラクターに魅力がなく、ドラマとしてつまらない。特に、主人公の弟は、生意気な上に無鉄砲で、鬱陶しさしか感じなかった。
反戦映画にならないようにする気遣いからか、やたらと陽気で和気あいあいとした部隊の雰囲気も、わざとらしくて違和感しかない。
肝心の戦闘シーンも、アクションが激しすぎて、誰が何をやっているのかがよく分からず、過剰な音楽で場面を盛り上げようとする古くさい演出に辟易する。
内容的にも、通信塔を破壊するまでの戦闘で、もうお腹一杯になってしまい、クライマックスの総攻撃のシーンでは、完全に集中力が途切れてしまった。
しかも、激戦に次ぐ激戦で、相当の死傷者が出ているはずなのに、手帳に記録を付ける主人公が、最後の戦死者だけを悼んでいるかのように見えるのは、どうにも腑に落ちない。
結局、ラストの「こんなに強靭な精神力を持つ相手には、永久に勝てない」という米軍の将軍のセリフが、最も言いたかったことなのだろうが、前時代的な精神主義が鼻についただけだった。

tomato