劇場公開日 2022年11月18日

「おもしろいが、スッキリしない部分も…」ザ・メニュー おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5おもしろいが、スッキリしない部分も…

2022年11月20日
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鑑賞方法:映画館

怖い

難しい

予告のアニヤ・テイラー=ジョイの魅力に惹かれ、それだけの理由で鑑賞してきました。ただ、彼女の魅力は期待通りでしたが、内容はよくわからなかったというのが正直なところです。

ストーリーは、孤島にあるなかなか予約の取れない有名シェフのジュリアン・スローヴィクのレストランに、運よく招かれた客たちが、極上の料理を楽しみながらも、しだいに不穏な空気に包まれる店内で、予想もしない恐ろしい体験を味わうことになるというもの。

運ばれる料理の一品ごとにシェフが、料理の解説やそこにまつわる思いを語るのですが、それがしだいに奇異なものになっていき、シェフの真意が読めません。あたかも宮沢賢治の「注文の多い料理店」のような雰囲気で、作中の紳士の姿が、シェフの料理を自分流に解釈しようとするタイラーの姿と重なります。

料理が一品、また一品と出される中でしだいに露わになるこの店の異様性とシェフの狂気。客たちの運命はどうなるのか、シェフの狙いは何なのか、というところに観客の興味は集中します。コースメニューにしたがって粛々と料理が提供されるように、物語の展開にたいしたひねりはないのですが、得体の知れない緊張感のおかげでぐいぐいと引き込まれます。

それなのに!ラストのオチがよくわからず、モヤモヤしたまま終幕を迎えたのは致命的でした。結局は、自分の料理の本質もわからず、肩書きや世間の評判をありがたがるような輩を許せなかったということなのでしょうか。逆に、歯にきぬを着せぬマーゴの言葉は本質を突いていたので、彼女を楽しませるために渾身のチーズバーガーを提供し、退店を許したのではないかと思いました。いずれにせよ、客たちの背景や人物相関を捉えきれなかった自分のせいかもしれませんが、もう少しわかりやすく観せてほしかったところです。

他にも、なぜ料理人たちはシェフにあそこまで忠誠を誓っているのか、男性客だけをいったん逃したのはなぜか、タイラーにささやいた言葉は何だったのか、給仕のエルサはなぜマーゴを襲ったのか、シェフの母の存在は何を意味していたのか、もう整理がつかないことが多すぎてモヤってしまいました。あとで他の方のレビューを読んで補完しようと思います。

主演はレイフ・ファインズで、異様な雰囲気を纏った圧倒的なカリスマシェフを怪演しています。共演はアニヤ・テイラー=ジョイで、シェフに対して一歩も退かないマーゴを好演。脇を固めるニコラス・ホルト、ホン・チャウらも、いい仕事をしています。

おじゃる
大吉さんのコメント
2022年12月8日

私も同じところひっかかりました。

大吉
いぱねまさんのコメント
2022年11月22日

失礼します

貴殿のレビューに改めて自分の考察を修正させて頂きました その気付きをもたらして下さったこと感謝します
多分、今作の大きなテーマは"信用"なのかと気付きました 今作品でもそうですが、上映時間の適切さ(統計的に上映時間の長い作品は疎まれる等)と、より入組んだ構造の作劇というそもそも矛盾した制約や好みを落し込む上で、大胆に人物背景等をバサッと切ってしまう昨今です それが却って益々展開に穴が開いてしまい、疑問符が渦巻いてしまう悪循環に陥ってしまうのではと分析しております
メタ的に今作品はその信用足りうるテーマに沿った内容だったというと、皮肉にも不十分だったのだろうと思います しかし、観客も又、アップデートしないといけないかも知れませんね 空白を想像するというやっかいな穴埋めをw

いぱねま
満塁本塁打さんのコメント
2022年11月22日

おじゃるさん 返信お気遣いありがとうございました😭。求道的すぎるが故の、狂気かと・・昔から なんとかと何とかは紙一重・・とも言いますので!またよろしくお願い致します。🙇‍♂️

満塁本塁打
満塁本塁打さんのコメント
2022年11月21日

求道的ということのような・・アニャさんはグルメではありませんが本質をついてたので、渾身の本物のハンバーガー🍔【日本でいうとポテトがついて1500円くらいのやつ・】という結論になったのだと思います。【飽食への警鐘】は事実でしょうが【飢餓がなんやら・・】というのは簡単なことを超難しく、考えすぎかと・・国連高等弁務官なんやら・・ではないのでチト明白に違うかと思います。コメントに対するコメントですね。チョット高尚すぎるのもどうかと思いましたので敢えてコメントですね。娯楽作ですから正解は無く、貴殿の様な疑問に思われる方も当然です。別に上の方の意見もアリかとは思います。定義は無いと思います。飢餓はチョット・・予約の高級レストランでは食品ロスも殆どないでしょうから。

満塁本塁打
NOBUさんのコメント
2022年11月20日

今晩は
 これは、私の勝手な解釈ですが今作は現代の飽食の時代への警告を含ませた映画だと思いました。
 日本で言えば“食べログ”で高評価を得た店に群がる人々。
 一方では、飢餓に面した国の数々・・。
 レイフ・ファインズが演じた主人公は、そのような状況を経験し、精神に異常を来す直前(母を店に誘っている点で、狂気の直前でとどまっていると思いました。)の状態にあり、そんな中で、自らの出自を明かし、チーズバーガーを頼んだ、マーゴのみを逃がしたのではないかと思いました。
 では。返信は不要です。
 これからも、宜しくお願いいたします。

NOBU