劇場公開日 2023年7月21日

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「映像技術の進化を「アナログのために使う」というトム・クルーズの生き様が表れた「映画史上類を見ない伝説的な作品」!」ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0映像技術の進化を「アナログのために使う」というトム・クルーズの生き様が表れた「映画史上類を見ない伝説的な作品」!

2023年7月22日
PCから投稿

本作はシリーズ初となる前編と後編の2部作となっていて、次の8作目で終結を目指すような「集大成的な作品」となっています。
そのため過去作の登場人物が多く登場するなど、シリーズのファンであればあるほど、より楽しめる作品となっています。
その一方で、これまでの作品で当たり前のように使っていた「IMF」というキーワードを改めて解説するなど、一見さんでも楽しめる工夫もなされています。
このところシリアスな作品となっていたので、「PART ONE」では「アドベンチャー」と「ロマンス」という要素も大きく取り入れています。
そのため私たちも、アブダビ、ローマ、ヴェネツィア、ノルウェーなど世界を旅しているような壮大さがありました。
本シリーズの最大の特徴に、トム・クルーズらが自らすべてのアクションシーンなどをこなす、ということがあります。
例えば(海抜)約1200メートルの山の断崖絶壁からバイクを走らせ、渓谷に落下し地上約150メートルのところでパラシュートが開く、というシーン。
これは「崖から離れたら6秒以内にパラシュートを展開しないと、2秒後に崖にぶつかる」といった驚愕なシーンなのですが、映画を見れば「短めなシーン」の1つに過ぎません。
ただ、この短めな映像を実際に撮影するためには、想像を超える背景があるのです。
バイクで山の断崖絶壁から飛ぶ際に、あるスピードを超えないと落下するため、バイクにはスピードメーターが必要不可欠です。
ところが本作のバイクにはそれがないのです!
それは傾斜台が狭いので、スピードメーターを確認するために下を見るとコースから外れ、命を落としかねないからです。
そこでバイクの速度を身体で記憶するしかなく、トム・クルーズは1万3000回以上ものバイクでのジャンプの訓練をこなしています。
また、上手く飛べても、軌道がズレてしまったら映像が上手く行かなくなるどころか崖にぶつかったりするリスクもあります。
そこで500回以上のスカイダイビングの訓練もしているのです。
この僅かなシーンの撮影のためだけにトータルで15か月にも及ぶ準備期間を要しています。
走っている列車の上で戦うシーンについては、すでに1作目の「ミッション:インポッシブル」(1996年)で「達成済み」と思っている人も多いでしょう。ただ、当時は、撮影技術などの課題もあり、このシーンの多くがセットで行われていたのです。
それを本作では「実際に撮影」するべく、特殊な列車の制作だけで8か月も費やし、時速100キロ近いスピードで走る列車の上で戦うシーンを実現させたのです!
このように、いかに「本人が実際に演じている」のを誤魔化さずに見せられるのかというのは、実はハードルが高く、本作では、映像技術の進化を、むしろ「アナログのために使う」という「映画史上類を見ない伝説的な作品」となっているわけです。
CG全盛期の今では「本物っぽい」と「本物」の区別がつきにくくなりました。
だからこそ役者やスタッフの本気度が垣間見える制作背景を知った上で見てみると、より本作のリアルさが実感でき、楽しさが倍増すると思います。

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細野真宏