劇場公開日 2022年11月3日

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「【”周囲がどう思おうと、偏見に負けずに自分らしく生きる!”今作は、1995年のアイルランドの田舎町を舞台にした、少しユニークな、そして素敵なボーイ・ミーツ・ガールムービーである。】」恋人はアンバー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”周囲がどう思おうと、偏見に負けずに自分らしく生きる!”今作は、1995年のアイルランドの田舎町を舞台にした、少しユニークな、そして素敵なボーイ・ミーツ・ガールムービーである。】

2022年12月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

ー 舞台は1995年の、アイルランドの田舎町。男性教師に気を引かれる懸垂が一回しかできない高校生エディと、父親が自殺してしまったレズである事を隠しながらも、気丈に生きるクラスメイトのアンバー。
  二人は、周囲の目を気にして、疑似恋人になって、皆の前で無理に振舞うが・・。-

◆感想<Caution!  内容に触れています。>

・1995年の、アイルランドが舞台。アイルランド紛争の真っただ中なので、田舎町でも普通に実弾を使った訓練が行われている。
 そんな中、ドロップハンドルの自転車に乗ったエディはフツーに学校に通っている。
ー 画像の粒子が粗く感じたのは、年代感を出そうとしたのかな・・。それにしても、エディの父親が軍に属し、母親とはあんまり上手く行っていないようだ。「ベルファスト」とはそこが違うかな。ー

・アンバーも、気丈に生きているが、父親が自殺していたり(理由は、ハッキリとは描かれないが、アンバーが田舎町を早く出たい!と願っている事から、類推出来る。)、母親ともあんまり上手く行っていない。
 で、町を出るために住んでいるトレーラーハウスを”若者達に一時的に貸し出す”事で、お金を貯めている。
ー 強気だけれど、クラスの中ではレズではないかと疑われ、浮いているアンバー。けれども、彼女は強い心の持ち主だ。弱気で、流されがちなエディを陰ながら支えて行く姿は、お姉さんのようである・・。-

・そんな、エディとアンバーは疑似恋人になる事で、自らの性癖を隠そうとするが、当然一緒にいる時間は長くなるわけで、二人で映画を観に行ったり(周囲のカップルは誰も映画なんて観ていなくって・・。)列車で、ダブリンに出掛けて、バーに行ったり・・。
ー そこで、アンバーはサラと出会う。二人はドンドン良い仲になって行く。
  一方、エディとアンバーは性格も価値観も違うのだが、何となく相手が大切な存在になっていく過程を、当時の時代背景も入れて、上手く描いている。ー

・エディとアンバーのクラスメイトや、親たちも何だかんだと言いながら、二人をしっかりと観察し、ちょっかいを出したりするけれど、悪人はいないんだよね。

■高校を卒業して、軍隊なんかには入りたくはないんだけれど、父が軍に所属していたり、アイルランド紛争もあり、軍の訓練を受けてまさかの合格通知書を貰ったエディが暗い顔で軍に入る列に並んでいる時に、いつものように飛んできたアンバーが投げた石。
 エディが、抗議しに行くとアンバーは、大切に貯めたお金が入った金属箱を差し出して
 ”自分の思うように生きなきゃ、駄目よ!”と言うシーンは、沁みたなあ。

<性癖は違えど、一度恋人のふりをしたエディとアンバーの間の絆は強く、特に気丈なアンバーが少し気弱なエディを叱咤激励し、軍に入れずに新たなる道を歩ませる姿は、素敵だったな。
 二人の将来に幸あれ、と思った作品である。

<2022年12月18日 刈谷日劇にて鑑賞>

NOBU