配信開始日 2022年5月27日

「『ゲット・アウト』ミーツ『ブックスマート』= 当たり前/スタンダードなものとして世の中に根付いた価値を痛烈に皮肉るユーモア!!!」友情にSOS とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0『ゲット・アウト』ミーツ『ブックスマート』= 当たり前/スタンダードなものとして世の中に根付いた価値を痛烈に皮肉るユーモア!!!

2022年5月29日
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"黒人らしい"とは?"Nワード"についての講義など冒頭からよくできている。"bitch" や "pussy"という言葉が悪口として使われ、それらで他人を罵る。黒人というステレオタイプ世間的イメージは未だにドラッグやストリート、低所得&犯罪なんかと(過度に/根強く)結びついていて、ボタンダウンシャツにタックインした"臨時教師みたいな"服装だと違和感を覚えられる。未だに肌の色であれこれ判断される。黒人が優秀であることに違和感を覚える。そして今や黒人だけでなくヒスパニック系もそうした目を向けられる。"細菌とバクテリア界のバラク・オバマ"として百科事典に載ったらダメなのか?私たち観客の中に無自覚にある差別意識を呼び起こし、目を向けさせハッと気付かせる表現の意義。

優秀なクンレと午後3時からハイなショーン、対照的な親友2人組。春休み前夜、『ブックスマート』(『ワールズ・エンド』)よろしく黒人"初めての殿堂"に名前が載るという伝説を打ち立てるためパーティーはしご=全制覇ツアーに繰り出すはずが、家に帰るとそこには見覚えのない白人女性が倒れていて…。羽目を外すはずだった夢の一夜は悪夢の一夜に、まさしく《緊急事態》!
にしても邦題が安定にダサいほど説明過多でうるさい。いや、そうなんだけど、そんなの見たら分かるし。どれだけ観客バカにすれば気が済むのか?友達だった証がほしくて最後にバカやろうと。主人公2人+αで黒人以外のキャラクターとしてカルロスがいるのも良かった。また、彼の主人公2人とは違う、友情大事にしたいキャラな性格もよく見るやつだけど、やっぱり愛しい。

なにが不満なんだ!俺たちが黒人だからか?彼女でなく俺たちのことを考えろ!白人以外ここにいちゃダメだ!濡れ衣はゴメンだ。要らぬ疑いを持たれぬように動いたつもりが、その結果、事態はこじれていく。今夜、アメリカで無くならない白人警官たちによる黒人への暴力や発砲の被害者となって殺されてしまうのか?ただ彼女を助けようとしただけ…!助けて、お願いだから…悪いことは何もしてない…家に帰りたい。
ラストカットの主人公の顔が『ゲット・アウト』のダニエル・カルーヤくんばりに忘れられない表情していた。チビりそうだった、死ぬほど怖かった。こんなトラウマ級な経験したら、きっと二度と同じようには世界を見ることができなくなるかも。パトカーのサイレンを聞くだけで嫌な記憶が蘇って怯えたり。彼らは気付いているのだろうか、憎悪という感染力の強いウイルスを自分たち自身がバラ撒いていることに。ハ、ハ、ハ、ハ、ステイン・アライブ〜ステイン・アライブ♪×∞

勝手に関連作『ブックスマート』『ゲット・アウト』『マスター 〜見えない敵〜』『ワールズ・エンド』『スーパーバッド童貞ウォーズ』『ブラインドスポッティング』『ヘイト・ユー・ギブ』『クイーン&スリム』『フルートベール駅で』『隔たる世界の2人』『SKIN』

とぽとぽ