劇場公開日 2022年8月5日

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「誰もが願っていること」きっと地上には満天の星 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5誰もが願っていること

2022年8月5日
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鑑賞方法:映画館

事情は様々でも、経済的基盤がないまま放り出されてしまう母子(父子というケースもあるが、母子の場合のほうが多い)。
一応、先進国の多くでは福祉制度上の最低限の生活保障はあることになっている(現実には救われていない人がたくさんいるとしても)。
こどもに対する親の愛情がいくら強くても、制度の側が不適格と判断した場合、親子関係を保ったまま保障を受けることが難しい、ということもある。
もし、長澤まさみさんが演じた『マザー』のような母親だったら、少額納税者の私だって、あの親と切り離さない形での生活支援はやめて欲しいと思う。
とはいえ、個別のケースについていちいち納税者に確認するわけにもいかないので、法律や行政の制度で一定の線引きをせざるを得ないわけです。この制度の運用(現場の実務)で生じる問題は、『護られなかった者たちへ』で描かれていたのはまだ記憶に新しいところです。

自分の手元においてこどもの成長を見届けたい。
でも、そのこどもの未来(社会適合性)を優先したら、生活の安定と教育機会を与えてくれる制度に委ねたほうが合理的(当事者でないものが言葉にするのは簡単ですが)。

幸福な家庭はどこも似たようなものだが、不幸な家庭は、色々なパターンがある(どこかで聞いたことがあるような…😅)。
その色々なパターンに人間味のある対応ができる人を社会として育てることのできる国になって欲しい。
是枝裕和監督やケン・ローチ監督のように、世界の映画人がそう思っているから、どこの国でもこういう映画が作られるのだと思います。

グレシャムの法則