劇場公開日 2023年1月20日

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「戦闘シーンのカメラ横移動、長回し撮影に圧倒される」ノースマン 導かれし復讐者 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0戦闘シーンのカメラ横移動、長回し撮影に圧倒される

2023年1月28日
PCから投稿

北欧神話やアイスランドの英雄伝説などを融合させて生まれたというこの壮大な復讐叙事詩。とにかく冒頭からクライマックスに至るまでロバート・エガース監督流の怪奇で圧倒的な筆圧がみなぎる。カラー作品でありながら、どこか前作『ライトハウス』に通じるモノクローム的な光と影が全編を貫き、かと思えば北の大地における自然の色彩がこれほど貴重かつ神々しいのかと唸らされる一面も。アレクサンダー・スカルスガルドの筋肉のうねり、そして魂の咆哮は、1人の少年が驚異的な執念と生存本能で生き抜き成長していく物語を、もはや言葉を超えた気迫で体現する。その姿を活写するカメラも印象的で、特に際立つのは横移動による長回し撮影。大規模で複雑な壮絶な戦闘シーンをゆっくりとごまかしなく映し出していく様に冷徹さや荘厳さすら感じるほどだ。頭で理解するというよりは自身の中にある最も原始的なDNAで受け止め、浴びるように味わいたい作品である。

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牛津厚信