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「夢に生きるか、"人生"を生きるか」ノースハリウッド とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0夢に生きるか、"人生"を生きるか

2022年10月6日
Androidアプリから投稿

スケボーに集中する。大学進学直前に控えたマイケル。本当はプロスケーターになりたいと思っている。夢を追いかけるか安定した人生/堅実な道を選ぶかの間で揺れ動くドラメディ。作品のトーン波長としては例えばドラマ『アトランタ』とかにも少し似たものがあったかも。
靴が同じ。コンバースのスニーカー、そのソールの横の部分に油性ペンで書かれた「NORTH HOLLYWOOD」の文字。階段で会おう。白人、黒人、アジア系、子供の頃から同じでツルんでいる連れと見てきた同じ夢。靴という小物使いがよかった、印象に残った。サントラもすごくいい働きしている。スケボーっぽくない昔のボーカルグループなどの選曲、クラシックなナンバーたちが一見ミスマッチになりそうなもののすごく合っていて光る。
今度一緒に滑らないか?プロになるという夢を叶えるための人脈作り。やっと掴んだノーランとアイゼアというプロとの"人脈"コネ&意中の人レイチェルとの接近!初めてできたガールフレンドに浮かれる、目まぐるしく自身を取り巻く環境が変わり進んでいく。ジェイとアドルフはガキ臭くて恥ずかしいと付き合い悪くなる。ウソを重ねてはイケ好かない最悪な態度のクソ野郎に成り下がっていく。

スケボーカルチャー × 普遍的題材
スケボーカルチャーやそのコミュニティについての良作は定期的に生まれていて例えば『スケート・キッチン』や『mid90s ミッドナインティーズ』、ドキュメンタリーで言えば『行き止まりの世界に生まれて』、遡れば『ロード・オブ・ドッグタウン』等である。個人的には『mid90s ミッドナインティーズ』より本作の方が好きかも。ちなみに『mid90s ミッドナインティーズ』の主人公の少年も髪の毛あの頃より短くなって、ハッパ好きのキャラクターで出ている。ニコ・ヒラガ(アジア系ジェイ役)好き!『ブックスマート』のイケイケ組キャラで初めて認識したけど、『スケート・キッチン』も出ていたのか〜今見直したら分かるかな。
どうやら(青色と)ボーダー柄が好きなマイケル。教会で侍者もしているけど、それも子供からの卒業と同じタイミングで卒業。建設作業員をしているマスキュリンな父親ヴィンス・ヴォーンと暮らしている、明らかに体の線の細い主人公。見た目から似ていない対照的な2人、恐らく互いに望む息子/父親=相手の姿とは異なるかも。そして、そうした"ズレ"もあってか、変に喧嘩っ早いところがあるマイケル。殴りかかって結果殴られてばっかり。そういや、また意味合いや種類が違うけど『mid90s ミッドナインティーズ』の兄も暴力的だったな。裕福でないこともあるのだろうか。そして最後は大人同士の会話…静かに心揺さぶられるものがあった。

That's fact.
You're grounded.
I am alone.

とぽとぽ