劇場公開日 2023年2月23日

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逆転のトライアングルのレビュー・感想・評価

全134件中、21~40件目を表示

3.5現代世界の縮図としての豪華客船

2023年4月5日
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鑑賞方法:映画館

 同監督の『ザ・スクエア 思いやりの聖域』と同様にブラック・ジョークに満ちていたが、少なくとも私の周囲の観客から笑い声はほとんど聞こえなかった。如何にもヨーロッパ的なジョークと言うべきか。
 ここに描かれた豪華客船はまさに現代世界の縮図という感じ。新興財閥(オリガルヒ)のトップのロシア人、武器製造会社を経営する英国人夫婦、M&Aで巨額の金を得た人物、SNSのインフルエンサーなどが客で彼らに直接サービスするのは白人の乗組員。東南アジアなどからの有色人種の乗組員は機関室とか清掃の仕事をしている。船酔いで金持ち客たちが吐いたゲロを彼らが拭き取っている場面は哀しい。船長は自らをマルクス主義者だと言い、税金逃れで巨富を築いた客たちを相手にすることを苦々しく思っているのだが、飲んだくれでどうしようもない。ロシア人客とレーニンやマルクス、ケネディ、レーガンの言葉の引用合戦してた。
 サバイバル能力がすぐれたトイレ清掃婦が漂着した島で君臨し、白人のイケメンの若者をペットにしてしまうのは現代世界へのキョーレツな皮肉。
 最後のシーンは果たしてどうなったか観客に判断を任せている終わり方だった。とにかく日本ではウケない映画だろうなぁ。もし日本人や中国人が登場するとしたら、白人客に媚びを売る乗客のような役回りかしらん。

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しばいぬるり

4.0毒を利かせた風刺劇で楽しめる

2023年4月3日
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鑑賞方法:映画館

 富める者と貧しき者の悲喜こもごも、人間の浅ましさ、エゴのぶつかり合いが、時に過激に、時にシニカルに表現された風刺性の高い作品である。

 監督、脚本は「フレンチアルプスで起きたこと」、「ザ・スクエア 思いやりの聖域」のリューベン・オストルンド。前2作同様、今回も毒を利かせた笑いを全編に散りばめながら2時間半という長尺を飽きなく見せた手腕は見事である。

 最も強烈だったのは中盤の嵐に見舞われたキャプテンズ・ディナーのシーンだった。ここまでやるか!という感じでもはや呆気にとられるしかない。例えるなら「モンティ・パイソン人生狂騒曲」のインテリジェンスとトロマ製作「チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット」の下品さを足して2で割ったような阿鼻叫喚の地獄絵図と言ったところか。オストルンド監督は必ず劇中にこうした強烈なシーンを1か所は入れるのだが、これまで以上に過激で露悪的で下品で凄まじかった。

 但し、個人的にはここをピークに映画は盛り下がってしまったように思う。

 映画は3部構成になっていて、第1部はヤヤとカールの痴話喧嘩を描くパート。第2部はクルーズ船内の悲喜こもごもを描いた群像劇。第3部はクルーズ船を脱出したヤヤ達が無人島を舞台にサバイブする話になっている。地位も名誉も無に帰した中で、それまでの優劣関係が文字通り”逆転”していく様を赤裸々に描いているが、前段のキャプテンズ・ディナーのシーンのインパクトの後ではどうしても弱く映ってしまう。

 同様のシチュエーションで言えば「マタンゴ」や「吸血鬼ゴケミドロ」といった作品も連想される。多種多様な人物が極限状態で本性を曝け出すというのは、この手のサバイバル物の一つの醍醐味であるが、そこを超えるものがなかったというのが正直なところである。

 ラストは観客の想像に委ねるような終わり方になっている。賛否あるかもしれないが、余韻を引くという意味では見事な締めくくり方だと思った。明確な答えを容易に出せない所に今作のメッセージの重みも実感される。

 尚、ヤヤを演じたチャールビ・ディーンは腹部に事故による手術の痕が残っている。本作の水着姿でそれを確認することができるが、術後に細菌性敗血症にかかって昨年の8月に他界したということである。今後の活躍が期待される中での突然の訃報ということで誠に残念である。

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ありの

4.0舞台転換の狭間に結構げんなりする描写があるが、全体的に風刺的群像劇として完成度の高い一作

2023年4月3日
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鑑賞方法:映画館

予告編から受ける印象どおり、セレブ達を乗せた豪華客船が沈没後、生きながらえた人々の中で清掃スタッフの女性がリーダーシップを発揮する…、という割と明確な物語上の筋がある作品です。そのため鑑賞始まってすぐに、「あれっ、予想してた映画とは違う」ということはなさそうです。

中盤の「げんなりする描写」も、何が待ち受けているのか予告である程度察することができるんで、あまり不意打ち感はありません。しかしおそらく想定以上のえげつなさなので、やはり鑑賞直前の飲食はよく考えた方が良いかも。

登場するセレブ達は、いろいろ立場は異なっていても、「エゴイストで金の亡者」という点では一致しており、乗務員も彼らのおこぼれにあずかろうとしつつ、やはりいいように使われることに苛立ちを募らせています。

まぁ、何か起きるだろうな、というか起きてくれ、と期待値が高まる中、登場人物達にとって最悪のタイミングで最悪の事態が勃発、そしてサバイバル劇へ。ここまでの展開に隙がなく、鮮やかな手際で多数の登場人物を描き分け、絶望的(なのに虚飾は忘れない)な状況を体感させてくれます。

後半の展開は、いわば「汚れた大人達による『蝿の王』」な訳で、生存者たちは生き残るためにルールを作ったり役割分担をしたり、新たな上下関係を受け入れたりしていくんだけど、それらの新たな「生活様式」は現実に帰還する際にどうなってしまうのか…。その段階に至って、これまで直線的だった物語の筋が急に謎めいてきます。特に最後のセリフについては、展開上ある程度予想はつくんだけど、それでも抉り方が結構こたえます。

本作のパンフレットを最初に手に取った時は、誰もが混乱し、でもその巧みさに唸ってしまうような、実に凝った作りになっています。値段もそれほど高くないので、内容の充実度はもちろん、モノとしての面白さの観点からも購入をおすすめします!

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yui

1.5意味不明

2023年4月1日
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 あの終わり方、どういうこと?つまらないというか、よくわからない。

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旅行者

4.0今村昌平、坂本スミ子。

2023年3月30日
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支持。
私的年テン入り当確。
上品の適量ゆえか露悪も後味良し。
半裸の◯◯◯まみれで独り転げ回る老婦人に泣き笑った。
我が国が誇る珍事アナタハンが素?が嬉しい。
カンヌ受賞ゆえ今村昌平ならどう撮ったか?と想う時、坂本スミ子に見えてきた。
そうか、シン楢山節考か。

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きねまっきい

0.5まさにクソ映画

2023年3月29日
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なんで、あんなにクソやゲロ出すんでしょうね。ああいうのが批評家スジに受けるんですかね。
まつたく、不快でしかなかったです。

最初からつまんなくて、確かレストランで払う払わないで揉めた後、気づいたら船が出航してました。

船はあんなに揺れてる?のに、机の上のグラスとかは一才倒れないんですね。さすがの高級クルーズ船?
海賊みたいなのが来たと思ったら、都合よく遭難。

トイレキャプテンが漁も火おこしも一手に〜ということですが、そんなの教われば誰でもできるでしょう。バカばっかりなのか。

ラスト、疾走してましたけど、なんともおもわせぶりなだけでまあ、ひどい映画でした。

カンヌ映画祭はエログロクソゲロ好きなんですね。

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Route193

3.0予備知識無し、思うのと違ってた。

2023年3月29日
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笑える

楽しい

資本社会を露わにしたサバイバルが無人島を舞台に繰り広げられ上流階級と下層階級が逆転、生きるため至上主義が繰り広げらていた。
面白そうだと思い観てみたがブラックユーモア、生き残りをかけた天外な生活たったけどそれなりに楽しめました。

観た後に『ザ・メニュー』や『オールド』を思い起こしてしまいました。

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倭

2.5フェミニズム

Kさん
2023年3月28日
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社会主義と資本主義色んな問題を提示してるのだけど色んな意味でクソミソという感じ。食事をとりながら観るのはお勧めしません。

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K

3.5ヤヤに一途なカールが体を張るヤヤ役の女優さん眼福映画 これでアクシ...

2023年3月28日
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楽しい

萌える

ヤヤに一途なカールが体を張るヤヤ役の女優さん眼福映画
これでアクションだと銃でマウント取り始めるけど今回はその要素がないのがいい
皮肉のきいたジョークは楽しいのだがテンポがイマイチ
予告見ないで軽いノリで見るのが楽しめると思う

ここに出てくる人たちってあんまり悪そうに見えないので気持ちがついていかない
老夫婦も醜態とかさらすキャラがよかった。武器売る人が必ずしも悪い人ではないと思う
ディミトリも悪い人じゃないと思うしな
アプリ商人のおっさんとか何でいるのか意味不明
まあテロは理不尽だ
ポテチ食わなそうな人たちがパリパリ食ってるシーンはおかしい
アビゲイルがやってることも結局富豪と本質は一緒

ヤヤの食べないパスタはオーケーで、どこの馬の骨かもわからないヤロウが食べきれない食事を映すのはアウトってなわけ
いやあ美しいってお得。

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UPtwHmNNLjBjFuAF

5.0超面白かった!

2023年3月27日
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ヤバイ!全員ちょっとずつおかしくて、不快!
マジ面白かった、最初から最後まで無駄がない。もう一回観たい。

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金子和令

3.5始めはルッキズム最後は欲望

2023年3月25日
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知的

たくさんの美しいモデルの選別とアートで始まり、良いと感じました。
美しいカップルの食事シーンで、食べかけのデザートを間に置いての、痴話喧嘩からの豪華ヨットへ舞台が映り、虫が羽音を立てて飛んでいました。
トイレ担当の女性がヨット上であまり目立たなかったので、後半の活躍は少し唐突すぎると思います。
遭難してからは、深刻ではなく働かないものは結局働かない、働くものも自分の欲望のためであり、人ってやっぱりそうだよねーと感じました。
男性モデルてイメージ悪いのでしょうか。

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のっぽ

3.5不思議な映画でした。最初の払う払わないのいざこざが妙に長いし。ブラ...

2023年3月25日
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不思議な映画でした。最初の払う払わないのいざこざが妙に長いし。ブラックユーモアが面白いところもあるし、気持ち悪いところもありました。

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やまぼうし

4.0カール君の女難体験記/働かざる者食うべからず

2023年3月21日
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笑える

怖い

知的

原題は Triangle of Sadness 。
第1章から第3章の構成。
第1章はインフルエンサーの美人モデルとなかなか芽がでない男性モデルのカップルがレストランでの食事代の支払いを巡って面倒くさいやり取りを繰り返す。男の方はキングスマンでのカンバーバッチの息子役、ザリガニの鳴くところでは復讐される裕福な御曹司役の新進若手俳優。なかなか顔芸も達者。
美人モデルヤヤ役の女優さんはこの映画の公開を待たずして亡くなったんだそう。クルーズ船でのビキニ姿。おへその上下に手術の傷痕がくっきり。
公開写真ではなんにもないように修正されています。
若いから卵巣癌?
脾臓破裂で開腹手術を受けたときの傷痕のようです。
なんやら動物の口腔内にいる細菌がもとでの感染症で亡くなったらしい。
ネコとキスばっかりしていたんでしょうか?
変ったおてんば娘だったのかな?
なかなか個性的で、ステキなモデルさんでした。
第2章はインフルエンサーの彼女が豪華客船の旅に招待されて、カール君もお供で乗船。クセの強いお金持ちたちと接客クルーたちのやり取りでは接客係の女の子を無理矢理プールに入らせる老婦人が印象的。ロシアの肥料会社の社長は酔っぱらって、シット、シットと叫びまくり。
CGはゲロ描写のために特化した映像技術だと確信。
第3章は難破した客船から救助ボートで無人島にたどり着いた数名がサバイバル能力によるヒエラルキーの逆転を体験することに。フィリピン人の中年女優さんが、千葉のいすみ市の釣り船でよく一緒になるおばちゃんによく似ていて、えっ👀⁉️って思ってしまいました。よく釣るんですよ。ちっちゃいおばさんなのに。で、旦那じゃないオジサンを連れて泊まりがけで来るんです。船宿の女将さんは欲求不満が溜まっているのか、物凄くやっかんでいました。なぜか、ボクにだけうっぷんを晴らすように言うんです。誘っていたのかも。商売ですから、お供を連れてきてくれる本人には文句は言いません。そんなわけで、人生至るところにトライアングルは存在するんだなぁと思いました。
ちなみに、いすみ市はタコ🐙の水揚げで日本有数の所です。
カール君は女将さんとちっちゃいおばちゃんの間で、気を遣いながら釣りをしていました。結構、ストレスでしたよ。
最後の場面はそのあとどうなるのか?カール君にとってどんな悲劇が待っているのか考えるとドーンと気持ちが沈みこみます。

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カールⅢ世

4.0社会規範の戯画化

2023年3月21日
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この監督の過去作を観てないんだけど、評判通り男の、あるいは現代のジェンダー規範の問題を焙り出してるな。
ジェンダーだけでなくあらゆる社会規範の問題をおちょくってるけど、この作品に関してはちょっと戯画化されすぎてやしないかとは思う。
面白いんだけど。

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ぱんちょ

3.0予告は面白かった

2023年3月20日
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予告は面白かったけど、本編はなぜなんだろ?ドキドキしなかった。

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こうたんまる

4.5雲の中

2023年3月19日
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この監督作品は「フレンチアルプスで起きたこと」以来の鑑賞だが、テーマは相変わらずのブラックジョーク満載(後半のしっぺ返しの数々!!)の男ってしょーもない映画だった

途中で「革命」があり、昨年公開の「ニューオーダー」展開になるが、あそこまで悲惨ではなく、とことん笑わせるのが救い(結構な汚物描写有り!!)

船長役、エンドクレジットでウッディ・ハレルソンと知る(気付かなかったー)

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うんこたれぞう

4.0これぞカンヌ!!!

2023年3月18日
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テーマが素晴らしい。現代の問題点をすべて盛り込んでしかもエンターテイメントにしている。二時間半の長尺でも全く飽きない。シナリオも3パートに別れていて中編を3本観たような感じだがテーマが全くブレずに回を追うごとに面白くなっていく。見せるところは見せてテーマに関係ない所はあっさりしているところも凄い。
3パート目の題材も手垢がついた話たまが新しい要素を入れていて本当に飽きない。

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るい

4.023030..阿鼻叫喚のキャプテンズパーティーが最高

2023年3月18日
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ヒエラルキーのバカバカしさを引き立てる

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movie

4.5前3パートで構成されている本作。 個人的にはパート1の会話が一番面...

2023年3月16日
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前3パートで構成されている本作。
個人的にはパート1の会話が一番面白かった。カールのまっとうそうに見えてただそんなにこだわることか?ってなるしょうもなさが良い。
パート2の船内ではヒエラルキーが如実に現れ、そこからのカオス展開は見もの。
パート3は無人島に漂着してヒエラルキーの逆転が起きる。が、爽快感はないのが不思議。
抑圧されたものの怒りがラストどうなったか想像するのも楽しい。

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いたかわ

4.0構成、アイデア、ストーリー、演出、すべてが優秀

2023年3月12日
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シンプルに面白い、と言っていいのかわからないけど、最近観た中ではダントツに面白い。語りとスタイル、下品であるバカバカしいシーンも知性的なので安心して笑える。
思ってたのと違うのは、豪華クルーズに乗る前が意外に結構あって、主人公の美男美女のしょうもなさを際立たせてクルーズに入ると、もっとヤバめな金持ちのオンパレードでそれらがだいたいゲロ吐く噴水と化して、この辺りはブニュエルチックな面白さがあり、クソを売ってる、爆弾を売ってる金持ちがそれぞれその餌食になり、ちょっとモンティパイソン的な雰囲気もあるが、ここから先のまさかのトイレ掃除のおばちゃんのサバイバル術でヒエラルキーの逆転で社会構造を持ち込んだのが賞を獲得できてる所以でしょうか。
ちゃんと観客の想像をくすぐる作りになっていて、最後まで人をくったスタイルの一貫性もあり、優秀な映画でした。中盤から、画面上の並行が崩れてくあたりからの畳み掛け、音楽含めてとてもワクワクした。そしていかに無人島に行くのか、どうやって沈没させるのかと思ってたら、、その辺のずらし加減も知恵があったな。

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ONI