劇場公開日 2023年5月12日

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「高潔に生きろ」アルマゲドン・タイム ある日々の肖像 N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5高潔に生きろ

2024年4月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

難しい

ストレートに痛いところを突かれた気分になった。
そして突かれたままで終わる。
ゆえに後味は悪く、だからこそおろそかにできない責務を、
忘れたくとも忘れてしまえば薄情なのだから、
一生抱えて生きる仄暗さを思い起こさせる。
それは誰しも、何かしら持っていそうな十字架だ。

目に見えぬプレッシャーからどうにか逃れ、
自由になろうと、生き延びようと主人公たちはしている。
だがどれほど知恵を、勇気を絞り出そうとかなわない。
なぜなら相手は不公平が公平な家庭であり、社会だからだ。

しかしながら高潔に生きろ、と説いて去った祖父の凄味がキモか。
金や名誉、名声をつきつめるのではなく、
おそらく誰しも真っ白ではいられない、
なら汚れてからこそが生き方の勝負だと言わんばかりに。

校風に染まらずさ迷う主人公の描写で本編は締めくくられる。
この胸のすくご都合主義では終わらない潔さに感服した。

アンソニーホプキンスが主人公と言ってもいい気がするが、それは禁句なのだろう。

N.river