劇場公開日 2023年7月14日

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「近くて遠い僕の“クロース”」CLOSE クロース かなり悪いオヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0近くて遠い僕の“クロース”

2024年1月13日
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レミ、あいつら噂するように僕と君はカップルだったの?仲のいい友達?それとも...君がいなくなった今ではそんなこと、もうどうでもいい気がするよ。そんなささいなことを気にしていた自分自身に腹が立つくらい。サッカーにしか興味のないバカな奴らにからかわれるのが嫌で、僕は君を一方的に突き放した。でもレミ、君は違ったんだね、君がいなくなってやっとそれがわかった気がするよ。あの日、君が学校の日帰り旅行バスに乗らなかった日から、僕の身体の一部がどこかへ消えてしまったんだ。家の仕事を手伝っても、男らしく振る舞おうとはじめたアイスホッケーに打ち込んでも、君の家に泊まったことを思い出して兄貴の寝ているベッドに潜り込んでも、僕の喪失感は埋まらなかった。僕の胸の奥の方で、レミ君の吹くクラリネットの音がずっとずっと鳴り響いているんだ....君のお母さんが不思議がってた、なぜ君が突然○○なんてって。レミの目にそっくりな君のお母さんの目が僕に訴えているんだ。「何か知っているでしょ?」ってね。正直いうと、苦しくて苦しくてしょうがなかった。僕らのことを何も知らないクラスのバカな連中が、レミの○を悼むような詩を書いて、さも同情するような....あんな嘘っぽい態度も許せなかった、僕らの関係が馬鹿にされているみたいでさ。もしかしたら、僕も君に嘘をついて君をわざと突き放したからかもしれないね。アイスホッケーの試合中に骨折した僕は、先生に包帯を巻いてもらいながらいつの間にか泣いていたんだ。涙がどうにも止まらなかったんだ。骨が折れて痛かった?それは違うよレミ、君の心の痛みがあの時本当にわかった気がしたんだ。ごめんよレミ、大切な友達。僕があんな態度をとりさえしなければ、僕と君はずっと友達以上の“クロース”な関係でいられた気がするよ。だからねレミ、僕は君のお母さんに真実を打ち明けることにしたんだ。僕が君を突き放したこと、君のお母さんには知っておいて欲しかったんだ。それでねレミ僕は気が少し楽になったんだ、腕に巻いていたギブスがとれたみたいにさ、へへおかしいだろ。花畑をレミと一緒に駆け抜けたあの夏の日、僕はそれを一生忘れない。でもねレミ、過去を振り返ってばかりはいられないんだ。僕には君の分まで前を向いて生きていく義務がある。しばらくすれば新学期もはじまるしね。じゃあねレミ、近くて遠い僕の“クロース”......

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かなり悪いオヤジ