劇場公開日 2022年9月9日

  • 予告編を見る

「大森監督流のフィルム・ノワールとして」グッバイ・クルエル・ワールド talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0大森監督流のフィルム・ノワールとして

2023年3月27日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

人的な信頼関係ではなく、その時々の利害関係によって(かろうじて)繋がっているだけで、それ故に、事務所のドアを鋼鉄製のものに変えたり、監視カメラで周囲を窺ったり、万一(?)の抗争に備えて常に事務所に若手(兵隊)を侍らせておかなければならないという特異な世界のことですから、その中に恒久的な「居場所がない」のは、当たり前といえば当たり前なのでしょう。
そんな「cruel(残酷な、過酷な)world 」ならぬ「狂える世界」の中でも、少しでも浮上しようとして、もがき苦しむ姿を見るのは、切ないといえば、切ないものです。

億単位のお金にはとんと縁がなく、月々のクレカの支払を決済できて安堵する小市民の評論子には無縁の世界ですが、もともと映画は(タキシード・夜会服の正装で)紳士淑女が観ていた時代から異世界を描いて来ましたから、これはこれで、大森監督流のフイルム・ノワールとして、良い作品なのかも知れません。
少なくとも「カネを返せ」「時間を返せ」という一本ではなかったと思います。評論子は。

talkie