劇場公開日 2022年9月30日

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「まきもとさんの真摯さと懸命さが胸を打つ」アイ・アム まきもと 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0まきもとさんの真摯さと懸命さが胸を打つ

2022年9月30日
PCから投稿

孤独死、葬儀、引き取り手のない遺骨。これだけ深刻なワードが並ぶと、受け手としてかなり沈痛な気持ちになってもおかしくない。しかしこの映画は逆に観客をとても柔らかな気持ちに誘ってくれる。こういう作品で声を荒げてはダメだし、泣き叫んでもダメなことを、おそらく作り手側は熟知しているのだろう。牧本という少し理解しがたい人間を主軸に据え、あくまで彼のビジョンを通じて生と死を見つめることで、そのワンクッションがとても心地よい余韻をもたらしてくれる。それこそ、原作映画『おみおくりの作法』でエディ・マーサンが演じた主人公を、日本版では阿部サダヲが演じるなんて、絶妙なキャスティング。この人が時にワッ!となる気持ちを抑え、彼なりの信念にしたがって行動していく姿は本当にユニークで透明感に満ち、なおかつ真摯さが胸を打つ。人はどう死んだのかではなく、いかに生きたのかが重要。そのことに改めて深く気づかせてくれる作品だ。

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牛津厚信