配信開始日 2022年12月23日

「謎解きのリゾートの魅力が拮抗」ナイブズ・アウト グラス・オニオン 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0謎解きのリゾートの魅力が拮抗

2022年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

興奮

前作に続き、探偵ブノワ・ブランが限られた空間に集まった人々の中から、巧みに仕組まれた殺人事件の犯人を見つけ出す、という内容だが、雰囲気は激変。今回は陽光が眩しいギリシャのプライベートアイランドを舞台に、主催者の億万長者と彼に恨みを持つゲストたちの知られざる過去が、紫外線を浴びて徐々に炙り出されていく。

監督・脚本のライアン・ジョンソンはロックダウン中に海外旅行への憧れをモチベーションに、この物語を書き上げたとか。だからか、映画には夏の旅の楽しさが充満している。物語の途中で明かされる、観客も想定外の人物的背景がもたらす急カーブは確かに快感だが、ジョンソンが脚本執筆の上で意識したという、アガサ・クリスティの『地中海殺人事件』や『シーラ号の謎』(豪華ヨット内での殺人事件を描いた密室ミステリーの傑作)を確かに彷彿とさせる、謎解きとリゾートの醍醐味が50/50で拮抗しているところが本作のミソだ。

各自、思い思いのリゾートファッションで島に降り立つが、中でもブランを演じるダニエル・クレイグが着るハイスエストのサファリスーツ、細く結んで首元にねじ込まれたスカーフの扱いは、この人物の研ぎ澄まされたセンスを象徴している。それは、少なくともファッションに於いて、クレイグがジェームズ・ボンドに続く当たり役を確かなものにした瞬間でもある。

そして、キラ星の如く登場するカメオ出演者たちの顔ぶれにも驚き、うっとりし、弔意を捧げる時間も用意されているので、集中力は最後まで途切れさせないよう願いたい。

清藤秀人