劇場公開日 2022年4月9日

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「美術界がざわついた抽象画のルーツ」見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界 osincoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0美術界がざわついた抽象画のルーツ

2022年7月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

あら、かわいいフライヤー。
IKEAで買った布団カバーもこんな柄だわ。
なんと、カンディンスキーやモンドリアン達より先に抽象画を描いていた人?シュタイナーも絡んでくるとな。
これは観たい。

映画のタイトルも覚えきらぬまま、画家も確認せぬまま、観てみました。

あー、写実を描かせても飛び切りうまい人。
学生時代から商売として成り立つほどの画力って。
何代にも渡って海図を描いていた家系というのも、すごいですね。

生前は作品を発表したがらず、死後20年経ったら発表していいリストを作ってるとか…なんでしょう、この秘めたいけど機を待っている感。発表しちゃダメなのもあるんでしょうね。

決していい保管場所とは言えないところに置かれていたにも関わらず、奇跡的に全作品が残っていたと言います。その数、約1500点。
3日に一作品のペースで描いていた時期もあるようです。手塚治虫先生の、イメージが沸いてくるのに手が追いつかないという天才エピソードを思い出しました。

発見した遺族達は、感激と共に呆然。
美術界は、歴史が変わるような事態に大混乱。ほんとに??

やー、かわいいな。色もフォルムも。
今でもたくさん使われている、テキスタイルデザインにも通じます。アリス・ベイリーも1880年生まれですし、エネルギーワークの挿絵にまんま使われていそうな作品も多数。
彼女の作品が世に出てなくても、抽象画が広がっていったと言うことは、100匹目の猿みたいに、同時多発的に誕生したのでしょうか。
根深いジェンダー問題が封印の一因にはなっていそうです。

抽象画は霊媒師的に描いていたようですが、治療の世界でも突き詰めていくとそんな話が出てきてしまうので、単なるスピリチュアルの世界では無いのかもしれません。
"誰かが自分に描かせてる"。ある種のゾーンに入ると、そうなる感覚はなんとなくわかります。
変性意識状態のようなこと、大なり小なり実は誰しも経験してるのでは無いでしょうか。

ヒルマが神智学に触れ、シュタイナーにコーチングのような頼り方をしていたのは興味深かったです。
シュタイナー教育で子供達が描く絵は、まさに抽象画の世界。なんなら子供達はいつの時代も自由な抽象画を描いているように思いますが、絵を描くこと自体が限られた人間だけに許された行為だったとか?
その辺の歴史も学ばないといけませんね。

描いてる姿は役者さんでしょうか?ヒルマ自身のことは、残された手紙や写真などの資料からの情報なので物足りなさもあるのですが(本人不在の上、資料だけで調べ上げたのがすごいですが)、あの映像でイメージが膨らみました。

私も身を潜めていたい、秘めていたい、でも探求や自己表現は続けたくて、このオタク心にコッソリ気付いてくれた人とキャッキャしたいという裏腹なところがあるので、勝手にいろいろ共感していました(時代背景の厳しさが全然違うのにすみません)。

いままで無かったものを形にする。0を1にする って、1を10にするより遥かに難しいこと。

先駆けだったのに埋もれていた女性と言えば、アイリーン・グレイも同じ。
ル・コルビュジェに嫉妬されるほどの実力を持ち主だったのが、建築業界から抹消されかけていました。
彼女も1900年代という厳しい時代の中で生まれた異端児でした。どちらもカックイイ。

最後に、ヒルマさんがどんな人物だったのか九星気学で妄想したいと思います。

ヒルマ・アフ・クリント

1862年10月26日 生まれ

本命星 三碧木星 壬戌
月命星 六白金星 庚戌
日命星 八白土星 癸丑

坤宮傾斜(二黒土星)

切込隊長といえば、三碧木星。頭角を表すのが早かった事が頷けます。今で言うと、1970年生まれが三碧木星の戌年なのですが、時代の流行を作ってきた立役者が豊作の年です。

成人前までは、父性的で権威的な六白金星のカラーが出ていたかもしれません。大人相手でも動じず、自己主張が強かったかも。

表向き、男性星だらけですが、本質を表す傾斜が二黒土星。母性の星。温厚で一歩ひいて誰かを立てる。誰かのために地道に働く。人生のテーマはそちらが強くなっていったのかもしれません。
その女性星で、スピ系に傾倒し、優柔不断さが出て、シュタイナーに頼りたくなったのかなぁ〜

osinco
osincoさんのコメント
2022年8月2日

きりんさん、コメントありがとうございます^_^

ほんとですね、それ気になります。もし、処分せずに残してあるのに「開封しないで」となっていたら、モヤモヤしますね。
鶴の恩返しというか、浦島太郎というか…
これから調査が進んでいくのが楽しみですね!

osinco
きりんさんのコメント
2022年8月2日

レビュー、楽しく読ませていただきました。

「これは開封しないで」という包みもあったかもしれませんねー

きりん