劇場公開日 2022年9月1日

「カルトとオカルト、ウサギとカメ」この子は邪悪 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5カルトとオカルト、ウサギとカメ

2022年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 邪悪なのはどっちだ?!と、最後まで犯人(?)がわからない。まぁ、悪人と言えそうな人物もいっぱいいる中、多分最も悪いのは居眠り運転していたトラック運転手(または過酷な労働を強いる会社)なのだろうけど、序盤には児童虐待がある意味キーとなってくる。

 退行催眠を得意として、心理療法院を営んでいる窪史朗(玉木宏)は児童虐待から子どもを守る会合を開き、多くの賛同も得ている様子。妻が事故で意識不明の重傷を負い、5年経っても昏睡状態。自らは右足の神経を損傷して足を引きずっていて、次女のルナ顔面大火傷のためにいつも仮面を被っている。主人公の花自信も心の傷が癒やせないまま・・・唯一の幸福感は飼っているウサギなのだろうか。冒頭から精神を病んでいる人たちばかりが映し出され、母親が若年性アルツハイマーのように精神を蝕まれている息子の四井純(大西流星)がデジカメで彼らを撮り、様々な精神科をPCでググっている。何が起こるのか不穏な動きもあり、催眠術を受けた者の目が八の字を描いてギョロギョロさせる恐怖映像。もうホラーだよ・・・

 誰が邪悪なのかを推理させられる展開ではあるが、真実は意外なところにあった!という驚き。講演会では児童虐待をテーマに史朗がカルト教祖となっていくのを予想してみたが、これはカルトじゃなくてオカルト!という不思議な物語へとなだれ込んでいった。今話題の統一教会が「世界平和統一家庭連合」とか怪しい名前をつけるもんだから、絶対そっちの方向だと思ってたのになぁ・・・

 こうなってくると、玉木宏の過去作でも『変身』とか『MW-ムウ-』を思い出しちゃうわけですよ。いや、むしろ『君の名は。』か?わたしたち、入れ替わってる?」などと爽やかな展開ではありませんけどね。もうラストは前前前世を歌ってしまいたくなります。ゲスの歌なんて要らんから、前前前世にしてほしい。ちょっと減点。

 映画ブログ仲間だったmigさんの弟・片岡翔が初監督。今後も期待してます。

kossy