劇場公開日 2022年9月9日

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「時をかける少女、いや、時をかける少年か。「映画大好きポンポさん」の実践編的なアニメーション映画。」夏へのトンネル、さよならの出口 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0時をかける少女、いや、時をかける少年か。「映画大好きポンポさん」の実践編的なアニメーション映画。

2022年9月9日
PCから投稿

本作は、名作「映画大好きポンポさん」のCLAPがアニメーション制作しているので、その時点で期待できました。
最初に上映時間を確認すると「83分」と、ポンポさんのセオリー通り。
本作の大きな特徴は「ウラシマトンネル」という設定でしょうか。
クリストファー・ノーラン監督の「インターステラー」からインスパイアされた「ウラシマ効果」が主人公の高校生カオルと、どのように関わっていくのか。
そして、東京からの転校生あんずと、どのように関わっていくのか。
キャラクターデザインや作画、背景(美術)などはキチンとクオリティーを維持できていました。
あんず役の飯豊まりえは、もはや安定した声優という域にいます。
カオル役の鈴鹿央士は初声優でしたが、キャラクターの性格を踏まえると合っていたと思います。
さて、本作で気になるのは脚本で、やや強引な展開が目につきます。
それは、「ウラシマ効果」をもたらす「ウラシマトンネル」というのは設定自体に非常に難しいものがあるため、ある程度の偶然に頼らざるを得ない面があるのでしょう。
ただ、もう少しだけ滑らかに動くような脚本であることが望ましかった気がします。
そして、エッジを効かせたカットは嫌いではないですが、携帯電話のメールが読みにくいシーンは、やや攻めすぎな感がありました。
とは言え、テンポよく進むのは心地よさもあり、今後に期待したいようなアニメーション映画でした。

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細野真宏