劇場公開日 2022年4月1日

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「クロエの独り舞台」シャドウ・イン・クラウド bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0クロエの独り舞台

2023年6月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

『キックアス』で、チャーミングで、強い女の子を演じたクロエ・グレース・モレッツが主演で、第2次世界大戦下で極秘任務を描いたサスペンス・アクション。そこに、魔物のような生き物も登場させることで、ファンタジー・ホラー的な要素も絡めている。『世にも不思議な物語』で、スピルバーグが描いた『ミッション』と『トワイライト・ゾーン』の『2万フィートの戦慄』を合わせたような内容だ。

作品に映し出されるシーンの殆どが、クロエの一人芝居。機密物資を運ぶ極秘任務に就いたギャレット演じるクロエが、爆撃機のボールターレットにハッチの故障で閉じ込められ、飛行機内の乗組員との無線会話で物語は進む。女ということだけで、乗組員から罵声や卑猥な言葉を投げつけられる中でも、毅然とした態度で任務遂行するギャレットが描かれていく。

しかし、そのボールターレットの窓から、伝説の魔物・グレムリンを発見し、迫りくる魔物と対峙していくギャレット。また、敵国・日本のゼロ戦も雲の合間から現れ、機銃掃射を浴びる。魔物とゼロ戦の2つの危機が刻一刻と迫る中で、勇敢に立ち向かうギャレット。それは、極秘任務で運搬する荷物の中身に由来するものであり、あまりに意外なその中身が露になる事で、ギャレットに隠された秘密も明らかになっていく。

童顔な少女だったクロエが、女性として、母として、逞しく、強くなって成長した姿を映し出されている。クロエ・ファンには、堪らない作品となるだろうが、ちょっとそれは無理だろうというシーンや、ラスト・シーンの後の方が心配になり、辻褄やリアルさには欠けていた。

この作品の真意は、本作のエンドロールで流されたシーンから、第2次世界大戦の従事した女性兵士への追悼の意味も込められていることがわかる。

bunmei21