劇場公開日 2022年4月22日

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「「赤ちゃん取り違え事件」を巡る深刻な物語かと思ったら、きっちり「しんちゃん」映画となっている一作。」映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「赤ちゃん取り違え事件」を巡る深刻な物語かと思ったら、きっちり「しんちゃん」映画となっている一作。

2022年7月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「家族(血縁)」と「世界危機」という、規模としてはかなり異なるけど、どちらも疎かには扱えない大きなテーマを描こうとし、また家族の描き方として、「乳幼児の取り違え問題」を取り上げるという、実は何重にも挑戦的な作品。最後がちょっと駆け足気味ではあったけど、それでも橋本昌和監督とそのスタッフの手堅い演出で、きっちり話をまとめた上に、さらに感動させてくれます。

予告編ではしんちゃんが実は野原一家の両親と血が繋がっていないことが強調されているため、この問題を軸に物語が展開するのかな、と思ったら、確かに導入部としては使われているものの、いざしんちゃんが忍者の里で生活を始めると、「世界を救う」という問題の方が前面に出てきます。ただしクライマックスでしっかり活かされるところがうまい。

世界の危機とそれに対する対処については、設定に次ぐ設定で、観客を振り回している感がなきにしもあらずだけど、あえてこんな無茶な要素を入れ込むことで、物語が感動ストーリー寄りになりすぎるのを回避したのでは、とすら想像してしまいました。

監督の橋本昌和は、今回が劇場版『クレヨンしんちゃん』の監督5作目ということですが、毎年連続ではなく、2013年から一年ごとに監督を務めているとのこと(前作『新婚旅行ハリケーン』からは3年空いているけど、これはコロナ禍の影響かも)。興味深い制作体制だけど、何か理由があるのかな?

yui