「どうして評価が高いんだろう」スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5どうして評価が高いんだろう

2024年3月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

マルチバースを理解したうえでこの映画を語るなら、この映画を「つまらない」と評価するアース42があってもいいはずだ。やたらと評価が高いようだが、私には到底受け入れられそうにない。

お寿司を食べに行ったらパエリアが出てきたような感覚か?パエリアにもうまいまずいがあるように思うが、残念ながらその価値観を持たなければ、最上級のそれを出されても「豚に真珠」である

後半、畳みかけるような展開になり、エモーショナルなストーリーが拡がっていったが、主人公の存在意義を問いかけることで、この世界そのものが崩壊するという壮大なロジックが定義される。ゆえに愛する人を守ることができないジレンマに陥り、仲間たちもつらい状況を見殺しにするしかない。「それがこの世界のルール」を飲み込めと強要される。

前作を見ていない人には何のことだかさっぱり分からないだろう。それどころか、いっぺんでもスパイダーマンを見たことのない人にはもはや映画の体(てい)を成していないかもしれない

もともとマルチバースの概念を取り入れることで、多様性を受け入れる世界を表現したかったはずだ。ロボットのスパイダーマンや少女のスパイダーマン、疲れたおじさんのスパイダーマンが居る世界が存在する。

もうひとりのスパイダーマン、グエンも世界になじめずに、家族とも折り合いが悪い。親に正体を隠してこそこそしている自分が嫌だけど、スパイダーマンである自分を変えることが出来ない。これはまるで陰謀論にはまってしまった少女そのものだ。世界の本当の秘密を知ってしまった自分は、誰からも受け入れてもらえない。でも世界をよくするために行動することをやめられない。

もしかして、そんな価値観の相対化を悲観したストーリーがうけたんだろうか?

それにしたって、あの終わり方はないと思う。ネタバレにならないギリギリの表現で言うなら『バックトゥザフューチャーpartⅡ』を見にいった時の気持ちに近い。映画にハマっていた分、BTTFⅡはワクワクして映画館を出た覚えがある。

この映画には、それがなかった。

うそつきかもめ