劇場公開日 2022年3月4日

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「題材の難しさを前提にして作った意欲は理解できると思います。」永遠の1分。 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5題材の難しさを前提にして作った意欲は理解できると思います。

2022年3月4日
PCから投稿

今年59本目(合計332本目/今月(2022年3月度)1本目)。

他の方も書かれている通り、東日本大震災をテーマにしたドキュメンタリーというか、コメディ映画というか、分類が難しいところです。
確かに震災も含めて自然災害をテーマにした映画は評価が荒れることが多く、作られるのも少ないように思えます。その点も考えれば多少の傷はあっても「挑戦したということそれ自体」にかなりの評価点はあるのでは…と思います。

なお、多くの日本人の方が行かれる限りあまり問題はないと思いますが、話題は
 東日本大震災 80%
 阪神・淡路大震災 10%
 コロナ事情 10% ※ 映画内では「最近流行りの感染症」という扱い。2020年3月という初期のころの話であるため。

 …です。

この映画、日本人どうしの会話には英語字幕が、外国人の発言には日本語字幕がつき、最後のエンディングクレジットにも東日本大震災に関係した都道府県(岩手、福島など)が日本語・英語の同時表記で流れます。趣旨的に、日本以外の国で放映されることを想定して作ったのだろうと思います。
そのため、日本人同士の会話の英語の字幕が明らかに妙だったり(英文法的におかしい等)するものの、趣旨がそうであろうと推知できる範囲では、減点幅をどこに持っていくのかも微妙です。

また、他の方も書かれていた通り、東日本大震災が起きたこと、それ自体は事実ですが、この映画ではどこまでが事実でどこからがフィクションなのかがわからず(かつ、地方行政も応援しているのに、パンフレットひとつない)、この点もかなり厳しいです(日本ならまた、何かしら調べる方法はあっても、外国で公開される時にそれを調べろというのも無理がありすぎる)。

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 (減点0.3) この映画、上記にも書いた通り、海外進出を前提にしているように思えます。日本人同士の会話に英語字幕が入ったり(本来不要)するところがあるからです。
ただ、字幕のつけかたがかなり雑というより、字幕を追うとわかりにくいです。

 (例/日本語や英語の助詞・冠詞など、通常禁則処理されるものが2行目先頭に来る)

▼ 日本語字幕の例。2行目先頭に助詞が来る
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これは映画
のレビューです。
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▼ 英語字幕の例。2行目先頭に冠詞が来る
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This is
a test.
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 (減点0.2) 上記にも書いた通り、8割は東日本大震災ですが、1割ほど、阪神・淡路大震災の話も出てきますが、出るだけです。日本では、この間が16年とスパンがあったため、東日本大震災の時に問題がなかった兵庫・大阪の消防・医療などが現地に赴きましたが(助け合いの精神の一つですね)、映画内ではこの話の繋がりが1行しかなく、「なぜ「放射能で危険と外国人に噂される」(映画内より)ところに行く必要があったのか」がわかりにくいです(日本では常識扱いできても、外国ではそうとは限らない)。
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 とはいえ、最初にも書いたとおり、「自然災害をドキュメンタリーとしてではなく、コメディ要素も込めて描く」ということ、そのチャレンジ精神それ自体に意義があると思いますので、他では減点要素なしにしています。

  ※ 今週(3/4)の週は「余命10年」という、似たようなタイトルの映画もあるので購入時には注意しましょう(私は3/5、明日見に行く予定です)。

yukispica