劇場公開日 2023年8月25日

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「ややわかりにくい点もあるものの…。」君は行く先を知らない yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ややわかりにくい点もあるものの…。

2023年9月6日
PCから投稿

今年300本目(合計950本目/今月(2023年9月度)10本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))。

 シネリーブル梅田で放映されていたので見てきました。
イランを舞台にしたロードムービーというカテゴリになります。

 …が、何の趣旨のロードムービーかがはっきりとせず(ただ単に国内を移動しているという意味から、国外脱出という重いことを扱っているように見える)、わかりにくい…という点はどうしても言えます。

 一方でイランといえばイスラム教にせよ何にせよ宗教が厳格ですが、この映画に関してはそこまでの趣旨はなし(せいぜい「イスラム教」程度の語しか出ず)。むしろ、イランにせよサウジアラビアにせよ「砂漠ばかり」という思い込みもあるなか、ある意味日本でも地形としてはありうる「ずっと平地ばっかり」(北海道の高速道路みたい…)というのが正しいようで、そこは良かったです。

 なお、イラン映画であるという事情もあるため、最初と最後にアラビア語??が表示されますが、読みようがないのでどうしようもないです(多分原題タイトルと、勝手にコピーするなとか何とかといういつもの話?)。

 採点は以下のようにしましたが、フルスコア扱いです。

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 (減点0.2/「家の譲渡証券」「家を抵当権に入れた」)

 これらのことから、不動産の得喪(日本民法177条)を彷彿とさせますが、「当事者では有効でも第三者に対しては登記しないと効果なし」(日本、フランス)、「当事者であっても登記しろ」(ドイツ、韓国)の2つのパターンがあり、イランはさらにこのどちらにも当てはまらないようにも見え、一方でイランにも「抵当権」という民法の用語はあるようで、何を言いたいかわからない部分があります(この辺、ドイツにせよフランスにせよ書籍が多いものなら、「比較法学」という分野で調べることは可能ですが、イラン等の法体系を詳しく記した書籍はないものと思います)。
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yukispica
正山小種さんのコメント
2023年9月7日

興味深いレビューを読ませていただきました。レビューを読ませて頂き、そういえば家を抵当に入れたようなことを話していたなと朧気ながら思い出した気がします。
イランで「家を抵当に入れる」という表現を聞くのは、主に、イランの刑事訴訟法第217条に定める保釈の際の保釈保証金相当額として、家を抵当に入れる際ですので、お兄ちゃんは何らかの事情で勾留されていたのだろうと想像してしまいます。
その場合、刑事事件の判決が出るまでは出国禁止の決定が出ているのですから、適法な手段では出国できず、密航ブローカーを使うのも納得ですが、そうなると、当然ながらお兄ちゃんは公判に出廷できず、家を没収されることとなり、お兄ちゃんの行き先も、家族の行く末も分からないということになるような......。
興味深いレビューありがとうございました。

正山小種