劇場公開日 2022年5月6日

「クルド人とは」マイスモールランド ミカエルさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0クルド人とは

2023年3月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

悲しい

日本に住んでいるクルド人は約2,000人といわれている。その多くが、埼玉県南部の蕨市と川口市に集まっている。彼らの多くは1990年代にトルコ政府の迫害を逃れて来日した難民である。日本では難民申請しても難民認定されるケースはほとんどないため、多くのクルド人は不安定な生活を送っている。
映画はこの難民申請不認定を題材にしている。クルド人の家族とともに故郷を逃れ、幼い頃から日本の地で育った17歳のサーリャは、埼玉県の高校に通い、同世代の日本人の生徒と変わらない生活を送っている。大学進学資金を貯めるため東京でアルバイトを始めた彼女は、東京の高校に通う聡太と出会い、自身の素性を明かすなど親交を深めていく。そんなある日、難民申請が不認定となり、一家が在留資格を失ったことでサーリャの日常は追い込まれていく。
在留資格を失って、サーリャは、高校に通えなくなり、大学進学の話もなくなり、バイトはクビになってしまった。生活のために働いていた父親も捕まり、入管に身柄を拘束されてしまった。県外への移動も制限されたため、サーリャと聡太は会うことがままならなくなった。難民鎖国日本の現状が垣間見えるが、逆に難民に認定された場合はどうなるのか、調べてみたら、永住者と同じ在留資格が与えられ、国民健康保険や国民年金に加入できるらしい。
この日本の難民政策に関しては現状が少しでも改善されていくことを要望するほかないが、私がこの映画を観て最も関心が高まったのは、日本にはあまり馴染みのないクルド人とはどのような民族なのかということだった。中東地域を中心に世界中に約3,000万人いるという国を持たない世界最大の民族、その外見や言語や文化はどのようなものなのか、埼玉県南部に実際に行って確かめてみたいと思った。

ミカエル